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麻美流ストレスフリー投資の原点に、デイトレと仕手株での大ヤラレ

特集
2021年12月14日 10時00分

ゆる~いようで強い! 投資家女子の決め技 麻美さんの場合-最終回

登場する銘柄

歯愛メディカル<3540>、アンジェス<4563>、ソニーグループ<6758>

文・イラスト/福島由恵(ライター)、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

【タイトル】麻美さん(ハンドルネーム・60代・女性)のプロフィール:
離婚後、現在はパートタイマーをしつつ、株式投資に励むシングルウーマン。子供はすでに成人して独立、現在は孫もいる。お金も時間も使い方は完全自由の環境となり、2015年、友人の勧めをきっかけに株式投資をスタートした。
元手としたのは貯金の一部の100万円で、以降、失敗を繰り返しつつも、追加資金を入れ資産は7年足らずで累積元本500万円を5000万円にまで拡大させた。
成功のカギは「トレンド好き」「調べ好き」「交流好き」の三拍子を生かした投資スタイルの確立。生活密着型の女性目線でトレンド商品を見極めるのが得意で、実際に店舗に行き、店員に売れ行き状況をヒアリングするなど生きた企業調査も熱心だ。長く従事している外資系企業の営業経験から得たコミュニケーション力が投資にも生きている。

第1回「美魔女の麻美さん、『ミーハー&パーフェクト』戦略で"資産テンバガー"」を読む

第2回「『増やすなら集中投資』、そのリスク回避はミーハー的買い物術」を読む

株式投資を始めて約7年の麻美さんが今、こだわるのは、自分らしい投資シンプルな投資を心掛けることだ。

自分らしい投資とは、他人に惑わされて背伸びをしたり、ストレスを感じたりするようなやり方を排除すること。別の人にとってはやりやすいものでも、肝心の自分にはムリが生じるものとならば、さっさと手を引く。

後者のシンプルな投資自分らしい投資と関わり、人に影響されてあれこれ手を出すより、自身が好きなこと、積み重ねて自信がついてきたことに特化するものだ。

この2つのスタイルは、これまで経験したいくつかのイタい失敗を経てたどり着いたものだった。では、麻美さんがしでかした失敗とは、どんなものなのか。

デイトレと仕手株トレードで大ヤラレ

1つは、生煮えの知識で取り組んだデイトレード。もう1つは、周りの雰囲気に飲み込まれて安直に参戦した仕手株トレードだ。いずれも麻美さんは「入口と出口が定まっていないダメトレード」だったと振り返る。

デイトレードを手掛けていたのは、投資を始めて間もない頃。これまでの記事で紹介したワークマン<7564>や神戸物産<3038>のような成功銘柄に出合う前の、自身の投資手法が定まってない時期だ。

周りの投資家仲間の話やSNS(交流サイト)からは、デイトレで1日に何十万も儲けた人の武勇伝が聞こえてきて、流行りもの好きの麻美さんのミーハー心も掻き立てられていく。十分な知識を得ていないのに、勢いで向かってしまっていた。

デイトレは基本的に、その日のうちに取引を手仕舞う手法。勝っている投資仲間から「ポジションは翌日に持ち越さないから損失リスクも少なく済むよ」と聞いて、「それならばやってみたい」と引き込まれていく。

ところが、いざ始めてみると、思うようにいかなかった。

デイトレのつもりの歯愛メディカルは、お祈り投資に

デイトレは、リスクを翌日に持ち込まないのが戦略なのに、いつの間にかそのセオリーからはずれてしまう。購入後に含み損を抱えると、自分の失敗を認めたくない気持ちが生じて「明日は上がるだろう」と自分に都合がいいように解釈するようになった。気づいた頃には損失は大きく膨らんだ状態に。

結局、デイトレの趣旨から外れて、資金を長期で塩漬けするまでになってしまった。そして含み損を抱え込み株価がやっと戻したところで「やれやれの売り」を強いられる、というダメトレードを重ねてしまっていた。

デイトレ目的で買った歯愛メディカル<3540>は、歯科向けに通販を行い、2017年末にIPO(新規株式公開)をした企業。18年3月末に向けて取引活況となり、話題のIPO銘柄として注目を集めていた。

その後、人気に陰りが出て株価は軟調な動きをした後、夏場の6月に入って強含む兆しを見せたため、麻美さんも再びの活況を期待して買いエントリーへ。損切りラインも決めないまま、勢いで向かってしまっていた。

ところが、参戦したその日に、いきなり含み損を抱えることになってしまった。ここでもデイトレの鉄則を守れずポジションは翌日に持ち越してしまう。

「明日こそ、明日こそ」と思っているうちに株価はズルズルと下がっていき、結局、上がる材料も見いだせないまま、ひたすら株価上昇を神様にすがる「お祈り投資」となってしまった

しかし、お祈りは実らず。同18年の10月4日に業績予想の下方修正が発表され、株価はさらに下落へ。5000円台に突入したところで損切りへと踏み切った。4カ月ほどで40%近くヤラレた失敗トレードだ。

10月に泣く泣く損切りしたにも関わらず、20年のコロナ禍では切り返して再び1万円台をつける場面もあり、チャートを見るにつけ今でも悔しさがにじむ。

デイトレのはずが、途中でスイングそして中長期投資へと変わる――と目的がブレブレになってしまったと、本人は当時を振り返る。

■歯愛メディカルの週足チャート(2017年12月~)

【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、
同値は「グレー」。以下同

こんなしくじりを繰り返すうち、麻美さんは、高速で投資判断を下すことがキモとなる短期売買は自分には向かないことを思い知る。

1日程度の短期決算となると、決め手となるのは出来高や値動きの幅が大きいかどうか。その企業の成長性やビジネスモデルは二の次、三の次とされ、銘柄に惚れこまない割り切りも必要になる。麻美さんは実際にやってみて、ちょっとドライ過ぎとも思えるこのやり方は、自分に向かないものだと痛感したという。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ 仕手株でのヤラレとは?

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