子育て世帯に給付の10万円は、課税それとも非課税?
清水香の「それって常識? 人生100年マネーの作り方-第42回
FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表

前回記事「10人に1人が行う副業・兼業、その注意点は」を読む
「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」と銘打った2021年度補正予算が昨年12月20日、参院本会議で可決・成立しました。最大の争点となった18歳以下が対象の1人10万円の給付をはじめ、新たなGoToトラベル、事業者向けの最大250万円支援金など新たなコロナ支援策も予算に盛り込まれ、給付に向け国や自治体が動き始めました。
これらの給付を受けられる対象でも、原則として申請は必要です。税金の取り扱いも制度により異なります。申請漏れで給付金を受け取り損ねたり、思わぬ落とし穴にはまったりしないよう、今回盛り込まれた主な支援策の概要と、昨年受け取った給付も含めた税金の取り扱いについて確認していきます。
子育て世帯・困窮世帯・学生への「各10万円給付」
「子育て世帯への臨時特別給付」は、2003年4月2日から22年3月31日までに生まれた子供を対象に、子供1人につき10万円相当が養育者に給付されるものです。
当初はコロナ支援策として給付されるはずでしたが、迷走の末、子育て世帯への支援策としての現金給付に様変わりしています。
ただし、現行の児童手当の給付基準にならい、世帯で最も所得が高い人(生計中心者)による所得制限が設けられているため、子育て世帯すべてが対象になっていません。
たとえば、18歳以下の子供2人と、年収103万円以下の妻を扶養する夫の年収が960万円未満なら給付されますが、960万円以上は対象外。所得制限の金額は、家族構成によって変わります。
いまや共働き世帯が多数派ですが、夫婦の年収を合わせた世帯年収では判定されません。たとえば、夫婦の年収がともに950万円なら世帯年収は1900万円ですが、生計中心者の年収は950万円。よってこの場合、家族構成が上記と同じなら対象になるのです。世帯年収ではなく生計中心者の年収のみで判定する点については、給付の公平性に議論が残ります。
10万円のうち、5万円相当を原則クーポン給付とするとした点も、政策目的があまりに不明瞭でした。給付金が貯蓄に回るのは、将来不安があるからでしょう。10万円の臨時給付だけでは不十分で、さらに踏み込んだ子育て支援が必要とされる現状があるのです。
支給時期は自治体により異なりますが、多くは21年内に現金5万円が給付され、その後追加で5万円相当が給付されることになります。21年内にすでに10万円を一括支給した自治体もあります。児童手当を受給している所得制限未満の世帯は申請不要なので、すでに振り込まれた世帯もあるでしょう。
16歳以上18歳未満の子供がいる所得制限未満の世帯、および公務員は申請が必要なので手続きを。対象児童がいる世帯には書類が郵送されます。市区町村によっても異なるので、市区町村のウエブサイトや公報で確認しましょう。
■昨年末に成立した補正予算で盛り込まれた給付の概要
給付金の種類 | 給付額 | 対象世帯 | 申請手続き |
子育て世帯への 臨時特別給付 | 10万円 * | 児童手当受給世帯** | 不要 |
16~18歳の子供がいる世帯 *** | 必要 | ||
住民税非課税世帯 に対する臨時特別給付金 | 10万円 | ・住民税全員の2021年度分の住民税均等割が非課税の世帯 | 必要 |
・新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変し、 住民税非課税世帯と同様の事情にあると認められる世帯 | |||
学生等の学びを継続 するための緊急給付金 | 10万円 | ・日本学生支援機構の給付奨学生で、 2021年12月10日に振り込み対象の学生(申請不要) | 給付奨学生 以外は必要 |
・上記以外で、自立しアルバイト等で学費を賄っている、 新型コロナの影響で収入が減少するなど要件を満たす学生 **** |
注 *うち5万円がクーポンの自治体あり。 **2022年4月31日までに出生した児童含む
*** 年度末まで。 ****最終的に大学が判断
住民税非課税世帯にも、今回盛り込まれた「住民税非課税世帯に対する臨時特別給付金」で、一世帯あたり10万円が給付されます。
対象となるのは世帯全員の21年度分の住民税均等割が非課税の世帯。たとえば、障害者、未成年者、ひとり親、寡婦(夫)で、前年の合計所得が135万円以下、あるいはアルバイトやパートで前年の収入が100万円以下など、かなり厳しい基準です。
苦しくても対象外の世帯に手を差し伸べる自治体独自の制度も
苦しくても対象外となる世帯があるため、一定条件を満たした世帯に対して独自支援を行う方針を決めた自治体もあります。
たとえば千葉県市川市は、所得200万円以下の住民税課税世帯に10万円を支給する方針を決定。大阪府寝屋川市は、20年の総所得が655万円未満で、2019年より所得が30%以上減少した世帯に5万円を支給します。居住自治体に独自制度があるかどうかは、広報やウエブサイトで確認してみるとよいでしょう。
困窮学生への10万円給付も新設されました。現在、日本学生支援機構の給付奨学生である場合は申請不要ですが、それ以外の学生は大学を通じて申請が必要で、最終的に大学が判断します。
新たな「GoToトラベル」
全国規模のGoToトラベルは現在停止中ですが、その間の観光需要喚起策として都道府県が旅行代金を割引く「地域観光事業支援(県民割)」が実施されています。
都道府県が制度設計するため割引や期間はそれぞれですが、1泊ひとりあたり5000円(商品代金の50%上限・日帰りも対象)の割引、加えて一泊ひとりあたり2000円上限のクーポン券を国が補助します。
県民割を実施している地域は、現在は一部。ですが、ワクチン接種証明やPCR検査陰性証明等の活用などを条件に、同一都道府県内のみならず隣接都道府県の旅行も含め、22年3月10日宿泊分まで割引適用が拡大されています。
たとえば「九州割」は、九州7県の自治体と旅行会社が立ち上げたキャンペーン。九州在住者が九州一帯を旅行するときに割引を受けられます。
一方、新たなGoToトラベルは年末年始の感染状況等を踏まえ実施される見込みとなっており、既にその概要が公表されています。