米国株式市場見通し:パウエルFRB議長の再任巡る公聴会に注目
来週は、金融政策決定において重要な主要インフレ指標や小売売上高が発表される予定で注目だ。さらに、11日には上院銀行委員会がパウエル議長の再任に関する公聴会、13日にはブレイナード理事の副議長指名を巡る公聴会が予定されており、FRBの金融引き締めの軌道を巡り、質疑応答などから何らかのヒントを得たい。
今週は、FRBが予想以上に積極的に金融引き締めを進める計画を示したことがネガティブサプライズとなり、売られた。金利先物市場はすでに3月の利上げを9割近く織り込んだ。急速な金融引き締めの可能性は引き続き投資家の不安につながり、上値を抑制するだろう。
しかし、市場が織り込んでいるとおりに年内4回の利上げが実行されたとしても政策金利は1%台だ。FRBが利上げに踏み切ると見られるのは、3月以降。利上げのタイミングやペースは経済動向や物価動向次第になる。また、9兆ドル近くに達したバランスシート縮小の開始は、現状で年半ば、6月か7月になる見通し。議長は2018年末に利上げとバランスシート縮小を同時に行ったため株式相場が急落するという過程を経験済みだ。相場の急落に繋がるような手段を選択するとは思えず、特に投資家の不安に繋がるバランスシート縮小を巡っては、慎重に対処するだろう。また、利上げは逆に経済がより正常化した証拠で、相場にとっては必ずしも悪いことではない。この先も短期的な調整はあっても、中長期での上昇基調に変化はないだろう。
経済指標では、11月卸売売上高(10日)、12月消費者物価指数(CPI)(12日)、12月生産者物価指数(PPI)、週次新規失業保険申請件数(13日)、12月小売売上高、12月設備稼働率・鉱工業生産、11月企業在庫、1月ミシガン大学消費者マインド(14日)、などが予定されている。
さらに、FRBは12日に全米地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表する予定。結果は25、26日に開催される次回FOMCでの金融政策を決定する材料になるため、物価や雇用動向に関する言及に注目したい。
主要企業決算では、航空会社のデルタ(13日)、建設会社のKBホームズ(12日)、金融でシティグループ、JPモルガン、ウェルズファーゴ、ブラックロック(14日)、などが予定されている。デルタは他の航空会社に先駆け決算を発表。年末にかけた新型コロナ・オミクロン変異株の拡大に伴う需要の低迷や従業員不足で思わぬ運航中止などが響き、前四半期のようなポジティブサプライズは期待できないだろう。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》