デリバティブを奏でる男たち【13】 アーク・インベストメントのキャシー・ウッド(後編)

特集
2022年1月14日 16時30分

◆オープン・スタイル

キャシー・ウッドがアーク・インベストメントを設立した当初は個人資産しか資金がなく、投資スタッフもほとんどがウォール街で働いた経験がない、もしくは少ない、あるいはM.B.A(経営学修士)も持っていないようなミレニアル世代(2000年以降に成人を迎えた世代)の比較的若い人たちでした。しかし、経験や資格よりも彼らが異なる業界の専門家であることを、彼女は非常に重要なポイントとして考えていたようです。

なぜならば、ウッドは投資対象を考える際、特定の業種を専門とするアナリストが無視するような、複数の業界にまたがる企業に注目していたからです。確かに異なる分野にまたがることで、新しい発見や画期的な仕組みが生み出されることは、日常業務の中でもよくあることです。ただ、彼女はそここそがイノベーション(技術革新)が起こる場所と考えて投資を行っていました。

調査体制も非常にオープンであり、調査チームが科学者やエンジニア、医師、その他の専門家と研究を共有し、協力するよう仕向けました。また、同社が毎週実施しているブレーン・ストーミング・セッションでは、業界の専門家やライバル投資家を含む誰もが参加できるといいます。このように彼女は、あらゆる人々からアイデアを得ることができる投資プロセスと文化を作りたいと考えていました。

◆救世主、ビル・フアン

また、敬虔(けいけん)なクリスチャンであるウッドは、同じく敬虔なクリスチャンであるアルケゴス・キャピタル・マネジメントのビル・フアンと教会を通じて出会いました。そして、2013年に投資アイデアを交換し、ウッドが彼に映像配信会社への投資を推薦した後、ファンはネットフリックス<NFLX>に投資したそうです。

【タイトル】

※2013~2014年の日次データ

これが縁でフアンはアークが最初に設立した4つのETF(上場投資信託)に資金提供しました。ウッドによると、当時はETFの資金を確保するのが難しい時期であったため、フアンの助けが重要であり、感謝しているとしています。

ビル・フアンについては『デリバティブを奏でる男たち』の第1回で取り上げました。およそ200億ドルもの巨額損失の後、アルケゴスを清算するという選択肢が残されているようですが、現時点では何も決まっておらず、アークのETFを今も持ち続けているかは不明です。

アルケゴス・キャピタルのビル・フアン(前編)―デリバティブを奏でる男たち【1】―

https://fu.minkabu.jp/column/926

アルケゴス・キャピタルのビル・フアン(後編)―デリバティブを奏でる男たち【1】―

https://fu.minkabu.jp/column/932

(※続きは「MINKABU先物」で全文を無料でご覧いただけます。こちらをクリック

◆若桑カズヲ (わかくわ・かずを):

証券会社で株式やデリバティブなどのトレーダー、ディーラーを経て調査部門に従事。マーケット分析のキャリアは20年以上に及ぶ。株式を中心に債券、為替、商品など、グローバル・マーケットのテクニカル・需給分析から、それらに影響を及ぼすファンダメンタルズ分析に至るまで、カバーしている分野は広範囲にわたる。MINKABU PRESS編集部の委託により本シリーズを執筆。


株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.