米国株式市場見通し:企業決算に注目
FRBの速やかな金融引き締めへの警戒感が投資家心理を悪化させ神経質な展開が続きそうだ。決算シーズン入りで、好決算が下値を支えられるかどうかに注目だ。特に来週は金融決算に注目したい。トレーディング収入の減少や人件費の上昇など、パンデミック絡みのコストの拡大が重しとなっている兆候が報告されており警戒が必要だ。ただ、金利の上昇は金利収入増に繋がり、金融にとってはプラス材料になる。一方、昨年末の消費や回復の勢いを抑制した新型コロナのオミクロン変異株の流行は、最初に特定された南アフリカや比較的早く流行が始まった英国でピークを迎えた可能性が報告されている。米国内の流行も月内にピークを迎え、今後は回復への期待が再燃し下値が支えられることになるだろう。
今週は次期FRB副議長に指名されているブレイナード理事が向こう1年で数回の利上げを予想していると発言したことが、投資家の不安に繋がった。特に同理事はハト派として知られている。さらに、同じく通常はハト派として知られるシカゴ連銀のエバンス総裁に加え、2022年にFOMCの投票権を有する数人の高官も年3回、または、4回の利上げの可能性に言及した。多くの高官はインフレが高過ぎるため、資産購入縮小を終了後、速やかな利上げの必要性を主張しており、3月の利上げを支持する姿勢を表明。3月の利上げに着手するため、資産購入縮小ペースを一段と加速させ、前倒しで終了させるとの思惑も浮上した。パウエル議長は再任承認公聴会で、今月のFOMCで資産購入縮小に関し協議すると述べており、25-26日に開催されるFOMCに向けて、様々な憶測に相場が上下に振れそうだ。ただ、基本的には経済は利上げに耐えうると見られ、中期的には押し目買いが奏功しそうだ。なお、17日は、キング牧師記念日の祭日で休場となる。
経済指標では、1月二ューヨーク連銀製造業景気指数、1月NAHB住宅市場指数、11月対米証券投資(18日)、12月住宅着工件数・建設許可件数(19日)、週次失業保険申請件数、1月フィラデルフィア連銀景況指数、12月中古住宅販売件数(20日)、12月先行指数(21日)などが予定されている。
主要企業決算では、金融でゴールドマンサックス(18日)、モルガンスタンレー、バンク・オブ・アメリカ、ステート・ストリート(19日)。そのほか、消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンプル、管理医療会社のユナイテッドヘルス(19日)、貨物運送のCSXや鉄道会社のユニオン・パシフィック、動画配信のネットフリックス、航空会社のアメリカン(20日)、サステナブルな靴メーカーのオールバーズ(21日)、などが予定されている。
金融では、前年に比べ債券取引などでの収益減が目立っており警戒だ。一方、航空セクターで先陣を切って発表されたデルタの決算は予想を上回り、さらに、CEOは新型コロナオミクロン変異株による混乱にもかかわらず春に向けた強い需要を見込んでいる。アメリカンも底堅い業績の伸びが見られるかに注目だ。
また、全米小売業協会(NRF)が主催する国内最大規模の国際小売り展示会が16日から18日まで、ニューヨーク市内のジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターで開催される予定で注目だ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》