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5億円プレーヤーの9945さん、アメ株は「ドラえもん」と呼ぶワケは

特集
2022年2月2日 10時25分

いくぜ、アメ株 !二刀流の極め技 www9945さんの場合

登場する銘柄

フィリップ・モリス・インターナショナル<PM>、ブリティッシュ・アメリカン・タバコADR<BTI>、アルトリア・グループ<MO>、アンファイザー・ブッシュ・インベブADR<BUD>、コカ・コーラ<KO>、ペプシコ<PEP>、ハーシー<HSY>、ディアジオADR<DEO>

文・イラスト/福島由恵(ライター)、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

【タイトル】www9945さん(ハンドルネーム・50代・男性)のプロフィール:
1990年代、年収300万円の清掃員だった頃に、100万円を元手に株式投資を開始。投資歴が25年近くなる現在は、5億円以上の財産を築き上げているサラリーマンの星。
投資スタイルは、割安成長株に着目しピラミッティングで利益の最大化を目指すとともに、インカム狙いの高配当株投資を並行して行うやり方。投資対象は日本株を主軸とし、米国株やベトナム株に加え、最近はフィリピン株にも対象を広げている。趣味は銘柄発掘も含めた街角ウォッチング。

「アメ株はいつも気持ちを癒してくれる心の友、『ドラえもん』のような存在ですね」

こう語るwww9945さん(ハンドルネーム、以下9945さん)は、1990年代に投資を始めて以来、現在、5億円にまで運用資産を拡大させている億マンさんだ。

資産拡大の原動力は、信用取引を使ったピラミッティンッグ(増し玉)と呼ばれる手法で、主に割安成長株に順張り投資するやり方だ。これらは、当サイトの「すご腕投資家さんに聞く 『銘柄選び』の技」シリーズで紹介している。

だがアメ株は、本領の肉食スタイルとは対極の存在と本人は言う。実際に、これまで手掛けてきた銘柄の中には、GAFAM*やテスラ<TSLA>、エヌビディア<NVDA>、ネットフリックス<NFLX>といった"アメ株界のキラキラ・グロース銘柄"たちは登場しない。

*GAFAM(グーグルの親会社のアルファベット、アップル、旧FBのメタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)の略

9945さんがアメ株投資を始めたのは1998年のスリーエム<MMM>への投資がきっかけだ。以降、同銘柄でいったん利益確定した後、日本株投資に集中するため一時期の休止を経て、再びアメ株を開始したのは03年からに。その後、14年に専業投資家に転身したこともあり、配当収入を強化するため、16年よりアメ株投資をさらに本格化した。

03年以降の約20年間の累積投資リターンは約20%と、メーンの日本株投資の運用成績と比べるとあまりにも地味すぎる内容だ。が、今後もこの心の友と縁を切る気は毛頭ない。

なぜ、9945さんはアメ株に四半世紀も関わり続けているのか。そしてアメ株投資は、主戦場の日本株投資にどのような好影響をもたらしているのか。これらについて複数回にわたって紹介していく。

初回は、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の転換でボラティリティー(株価の変動率)が高くなっている足元のアメ株相場の中で、どのような銘柄をいかなる着眼点で保有しているのか、今後の投資態度などについて見ていこう。

個別株ではたばこ、ビール株を主軸に投資

9945さんが現在保有し、期待している個別銘柄は、たばこメーカーのフィリップ・モリス・インターナショナル<PM>、アルトリア・グループ<MO>、ブリティッシュ・アメリカン・タバコADR<BTI>など。加えて最近は、ビール株に資金を振り分け始めているのだという。

9945さんのアメ株との付き合い方は、大きく分けて2つある。

1つ目は、高配当&主に人々の生活の習慣性に関連する製品を扱う個別銘柄の単発買い

2つ目は、今後も大きく成長すると思えるハイテク分野などカバーするETF(上場投資信託)の積み立て

――というものだ。

1と2ともに、投資の基本は買って長期保有をするバイアンドホールド型。米ドルで受け取る配当金は、そのままアメ株の再投資に充てる。複利効果を効かせ、雪だるまを作るように長期で資産をコツコツ膨らませていくやり方だ。

1と2とで狙う銘柄を違えているのは、

ファンダメンタルズの見極めがある程度自身でできるものは個別で、

見極めが難しいものは、関連銘柄をまとめ買いして分散投資する形のETFで、

――というメリハリをつけたいからだ。

■www9945さんの保有する主な米国株と配当利回り

銘柄名
<コード>
主な商品取得単価保有
配当利回り
フィリップモリス
<PM>
タバコ84.2ドル5.90%
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ
<BTI>
同上40.5ドル7.24%
アルトリア
<MO>
同上51.2ドル7.00%
アンハイザー
<BUD>
ビール63.5ドル1.86%
コカ・コーラ
<KO>
コーラ48.7ドル3.44%
ペプシコ
<PEP>
同上134.2ドル3.20%
ハーシー
<HSY>
チョコレート106.9ドル3.37%
ディアジオ
<DEO>
109.4ドル3.63%

財務面で不安も見られるフィリップモリスもOKとするのは?

こうした基本方針のもと、先に挙げたたばこやビール関連の個別株は、1つ目の「高配当&習慣性に関連する商品を扱う会社」という観点から選んだ銘柄となる。

8年ほど前からタイミングを見つつ単発買いを続けたフィリップモリスの現在の配当利回りは約4.6%。アルトリア、ブリティッシュは両社とも6.8%前後といずれも高水準だ。

一方で、これらたばこ株の株価の長期チャートを見ると、高値圏から沈んだまま足元ではイマイチな動きだ。だが、9945さんはそれで本来の狙いは外れておらずオッケーなのだという。

キャピタルゲインが劇的に増えることは期待せず、高配当をもらい続け、それを長期的に再投資していくことで資産全体がじわじわ増えていけば十分、というのがアメ株との向き合い方なのだ。

■フィリップモリスの月足チャート(08年~)

【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、
同値は「グレー」。以下同

とはいえ、フィリップモリスの財務状況を確認すると、「え、大丈夫」という部分もある。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ フィリップモリスの問題点とその捉え方は

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