為替週間見通し:ドルは伸び悩みか、ロシアによるウクライナ侵攻を警戒

通貨
2022年2月12日 15時07分

【今週の概況】

■ウクライナ侵攻を警戒してリスク選好の円売り縮小

今週のドル・円は上げ渋り。リスク選好的な円売りは週末前に縮小した。週初に114円92銭まで下げたが、米長期金利の反発や米国株式の上昇を意識しドル買いが強まり、115円台半ばまで戻す展開となった。2月10日発表の1月米消費者物価指数は約40年ぶりとなる高い伸びを記録したこと、米セントルイス地区連銀のブラード総裁は10日、メディアと会見で「7月1日までに100ベーシスポイントの利上げが実施されることを望む」との見方を伝えたことから、リスク選好的なドル買いが一段と強まり、ドル・円は一時116円34銭まで買われた。

しかしながら、11日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時115円02銭まで反落した。この日発表された2月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が予想を下回ったことや、米国政府が「ロシアは冬季オリンピック開催中にもウクライナに侵攻する可能性がある」と警告したため、地政学的リスクの増大を意識して米国株式は大幅安となり、リスク回避の円買いが活発となった。ドル・円は115円32銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:114円92銭-116円34銭。

【来週の見通し】

■ドルは伸び悩みか、ロシアによるウクライナ侵攻を警戒

来週のドル・円は伸び悩みか。米セントルイス地区連銀のブラード総裁は7月1日までに100ベーシスポイントの利上げが実施されることを望むとの見方を伝えており、米国金利の先高観は後退していないものの、ロシアによるウクライナ侵攻の可能性は残されており、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに拡大する可能性は低いとみられる。米国政府はロシアが冬季五輪開催中にウクライナ侵攻に踏み切る可能性を警告しており、2月11日の米国株式は大幅安となり、米長期金利は反落した。このため、主要通貨に対するリスク回避的な円買いがただちに縮小するとの見方は少ないようだ。

ただ、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)への加盟を巡ってロシアと西側諸国が対話を継続する方針を維持すれば、リスク回避的な取引は縮小する可能性は残されている。また、16日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨(1月25-26日開催分)には、政策金利引き上げやバランスシート縮小についての記述が含まれているとみられ、インフレ抑制や金融引き締めを明確に支持する内容だった場合、ドル買い材料になり得る。日本銀行は、長期金利の上昇を抑制するために0.25%で10年国債の買い入れを無制限に行うと発表したことは円売り材料となる。

【米・1月小売売上高】(2月16日発表予定)

16日発表の1月小売売上高はプラスに持ち直すか、注目される。12月分は予想外に弱くマイナスに落ち込んだが、短期的な調整に終われば、長期金利の反発や株高につながる可能性がある。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(2月16日公表予定)

FRBは16日、1月25-26日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表する。資産買入れの段階的縮小(テーパリング)加速のほか、利上げ時期に関する議論が注目される。

予想レンジ:113円50銭-116円50銭

《FA》

提供:フィスコ

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