【杉村富生の短期相場観測】 ─外部環境の好転を反映する展開に!

市況
2022年2月13日 9時15分

「外部環境の好転を反映する展開に!」

●株価は最悪シナリオを織り込む!

世界の金融マーケットは急速に落ち着きを取り戻している。まさに、「1月下旬の株価暴落は何だったの?」といった感じだが、これが"相場"だろう。投資家は最悪シナリオに脅え、身構えたのだ。もちろん、リスクパリティと称するヘッジ売り、信用取引には追い証発生、投げなどの行動が重なった面があろう。

先物主導の相場では急落は一段安につながる。逆に、上昇は売り方の買い戻し、ヘッジ売りの解消があって一段高となる。NYダウは早い段階に、1月5日の史上最高値(3万6952ドル)を奪回するだろう。日経平均株価はどうか。とりあえず、2万8000円台回復と考えているが、チャート的には2万9300円絡みの水準が見込める。

VIX(恐怖)指数は19.96ポイント(1月下旬には瞬間、31ポイント台に)まで低下した。SOX(半導体株)指数はジリ高だ。WTI原油先物は1バレル=90ドル前後と高止まりだが、オイルショックのような供給不安はない。米国10年債、30年債などの長期金利はピークアウトが近いと思う。

9日に実施された370億ドルの米国10年債の入札は応札倍率が2.68倍に達し、金利は1.904%だった。1.9%超の10年債には買い気が強い。運用難に陥っている国際マネーにとっては格好の投資対象だ。好調な雇用統計(1月の平均時給は前年比5.7%上昇)、高水準のCPI(消費者物価指数)の上昇率を背景に、利上げ圧力は強まっている。

しかし、CPIの上昇率(12月が7.0%、1月が7.5%)は予想の範囲内だ。改めてビックリすることではない。なにしろ、マーケットは最悪シナリオをほぼ織り込んだのだ。今後はその修正とともに、株価が戻るパターンになろう。

●大きく売り込まれた銘柄を狙う戦術!

3月利上げについては「0.5%」との見方が36.7%(アナリスト予想)に高まった。「0.25%」だと、ポジティブになる。QT(量的金融引き締め)については「3年間に最大4.4兆ドルの総資産削減」(ウォーラー理事)といわれてきたが、削減の手段はランオフ(償還に伴う保有資産の減少)にとどめる、との方針が示されている。最終決定ではないが……。

オミクロン株のパンデミック(世界的大流行)は収束に向かっている。CDC(米疾病対策センター)によると、アメリカの新規感染者は1月中旬の過去最多比「6割減少した」という。実際、ニューヨーク州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、デラウエア州などは相次いで学校でのマスク着用義務を解除している。

物色面ではどうか。相場巧者のウォーレン・バフェット氏の言葉を借りると、「優良株は常に、割高に買われている。しかし、何かのきっかけで急落することがある。そこは天与の買い場になる」。この局面では日本ペイントホールディングス <4612> 、日本M&Aセンター <2127> だろう。

日本ペイントホールディングスは浮動株比率が0.2%にすぎず、特定株比率は78.2%もあって、プライム市場移行は難しいとみられていた。このため、公募増資に加え、ここ数カ月、大株主に持ち株の放出(5000万~6000万株)を要請したという。この結果、株価は2月7日には843円の安値まで売り込まれた。当然の急落だが、これは戻る。

日本M&Aセンター <2127> は不祥事が急落の要因だ。営業員2名の不正経理が発覚、株価は昨年11月15日の高値3745円が今年1月28日には1645円の安値をつけた。下落率は56.1%に達する。やはり、売られすぎではないか。

アメリカ市場では大きく売り込まれていた自動運転のベロダイン・ライダー<VLDR>、医家向けサイト運営のドキシミティ<DOCS>などの小物が急反発をみせている。ベロダイン・ライダーはアマゾン・ドット・コム<AMZN>が発行済み株式数の16%にあたる3900万株以上のワラントを取得する。

2022年2月10日 記

株探ニュース

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