為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、米金融正常化を意識した相場展開に

通貨
2022年2月19日 14時44分

【今週の概況】

■ウクライナ情勢悪化で円売り弱まる

今週のドル・円は伸び悩み。日本銀行が長期金利抑制のため10年国債で指し値オペを通知したこと、ロシアが軍事演習を終了後に一部の部隊を基地に帰還させると発表したことを受けてドル買い・円売りが先行した。その後、連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月25-26日開催分)で3月会合での0.50ポイント利上げの必要性を示唆する見解がなかったことや、2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数などが予想以上に低下し、ドル売りに転じた。さらに、バイデン大統領が「ロシアがウクライナ侵攻する確率が非常に高い」と述べ、ドル・円は一時114円79銭まで下落した。

18日のニューヨーク外為市場でドル・円は、114円97銭まで下げたが115円18銭まで反発した。インタファクスの報道でウクライナ分離主義者がドネツクで車が爆破されたと発表したとの報道を受けて、ウクライナ情勢の一段の悪化を警戒したリスク回避の円買いが優勢となった。米長期金利の低下も意識されたようだ。ただ、質への逃避のドル買いも観測されており、ドル・円は115円05銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:114円79銭-115円87銭。

【来週の見通し】

■ドルは下げ渋りか、米金融正常化を意識した相場展開に

来週のドル・円は下げ渋りか。ロシアによるウクライナ侵攻に関しては、状況を見極める展開が続く。そうしたなか、米国と欧州連合(EU)はロシアとの協議が注目され、泥沼化の回避が期待されている。ウクライナ情勢の不透明感は払しょくされていないものの、平和解決への期待感が高まればリスク回避的なドル売り・円買いは後退しそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融正常化の加速や日米金利差拡大の思惑もあることから、リスク回避的なドル売り・円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられる。

一方、2月16日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(1月25-26日開催分)は、金融引き締めに積極的な内容ではなかったと受け止められた。ただ、足元で発表された米消費者物価指数(CPI)は約40年ぶりの高水準と、インフレ高進はより鮮明になった。金融当局者も引き締め加速の必要性に言及しており、金利高・ドル高の基調が失われる可能性は低いとみられる。

○発表予定の経済指標・注目イベント

【米・10-12月期国内総生産(GDP)改定値】(24日発表予定)

24日発表の米10-12月期国内総生産(GDP)改定値は、速報値の前期比年率+6.9%を維持できるか注目される。GDPの6割を占める個人消費が縮小すれば、減速懸念につながりやすい。

【米・1月個人消費支出(PCEコア価格指数)】(25日発表予定)

25日発表の米1月個人消費支出(PCEコアデフレーター)は、昨年12月の+4.9%に並ぶ高水準となればFRBの政策決定に影響を与えるため、金利高・ドル高の要因に。

予想レンジ:113円80銭-116円50銭

《FA》

提供:フィスコ

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