【杉村富生の短期相場観測】 ─基本戦術は突っ込み買いの吹き値売り!
「基本戦術は突っ込み買いの吹き値売り!」
●いまこそ、「栃木のいちごの唄」を思い出せ!
ひどい相場である。ショート(弱気)筋が狂喜乱舞し、走り回っている。「いくらでも取れる」と。しかし、筆者の知る限り、カラ売りによって"小銭"は稼げても巨万の富を築いた、という話は聞かない。さて、マーケットは相変わらず、ウクライナ情勢、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策、インフレリスクなどに振り回されている。
さらに、日本の場合は東証マザーズ指数の直近高値~直近安値(ザラ場ベース)の下落率がマイナス42.3%(昨年11月17日の1189ポイント→今年2月18日の685ポイント)に達するなど、固有の要因(内部崩壊?)がある。それだけに、厄介だ。ただ、テクニカル的には売られすぎゾーンに突入している。ここを売り込むのは危険だろう。
株価が暴落すると、悪材料が噴出する。投資家は疑心暗鬼になる。当然、リスクパリティを発動、ショートカバーを急ぐし、売りが売りを呼ぶ。こんな状況では何を言っても聞いてもらえないが、いまこそ「栃木のいちごの唄」を思い出してほしい。そう、「植えて枯らして、また植えて、ムダな苦労の3年3月」である。
株式市場に直すと、「仕掛けてやられ、また仕掛け、ムダな苦労の3月と10日」といったところか。しかし、栃木のいちご農家の苦労は無駄ではなかった。いまや、栃木の「とちおとめ」の生産量は日本一である。戦後、いちごの生産の北限は静岡だった時代に、栃木でのいちご栽培を決断した人は偉い。まさに、リスクを取る勇気ではないか。
●好調な企業業績が株価を支える!
株式市場の転機は近い、と考えている。外部環境では(1)ロシアはウクライナに侵攻しない、(2)FRBの利上げペースは緩やかなものになる、(3)オミクロン株のパンデミック(世界的大流行)は3~4月がピーク……と判断している。世界的な景気後退はないし、企業業績は好調を維持できる。
ちなみに、日経平均株価の1株利益は2037円(予想ベース)だ。実績値(1597円)に対し、27.6%増となる。さらに、SMBC日興証券によると、2022年3月期の東証1部上場企業(金融、ソフトバンクグループ <9984>を除く)の最終利益は前年比66.7%増の32兆9900億円になる見通しだという。
過去最高だ。これはこれまでの最高だった2018年3月期の29兆5700億円を大幅に上回る。企業業績はコロナショックを克服した。株価は超低空飛行を続けているが、外部環境の落ち着きとともに、必ず春が訪れる。この局面は引き続いて、突っ込み買いの吹き値売り戦術が有効である。
狙い目はどうか。中小企業向けのOA機器やセキュリティ関連機器の販売、DX(デジタルトランスフォーメーション)アドバイザー業務などを手掛けているNo.1 <3562> [JQ]はこの分野のナンバーワン企業だ。今年1月、「改正電子帳簿保存法」が施行されるなど、中小企業のデジタル化が急務となっている。このメリットを受ける。
ツナググループ・ホールディングス <6551> は短期・単発アルバイト専門サイト「ショットワークス」を運営する。コロナ禍に直撃され赤字決算となっていたが、2022年9月期は営業利益、経常利益ともに黒字に転換すると予想されている。ポストコロナ銘柄だ。復配(2円)の可能性がある。
このほか、逆行高の明治海運 <9115> にはホテル、ゴルフ場、レストランの経営などポストコロナの切り口があり、異彩高をみせている。青山財産ネットワークス <8929> [東証2]は下げ止まったようだ。ファンドの買いがみられる。住友金属鉱山 <5713> は国際商品市況高騰の恩恵を享受する。
2022年2月18日 記
株探ニュース