米国株式市場見通し:ウクライナ情勢やCPIに注目
ロシアのウクライナ攻撃が激化しており行方に不確実性が強いことや、2週間後に控えている連邦公開市場委員会(FOMC)を前にした警戒感から投資家心理が悪化、買い控えが優勢になりそうだ。一方で、積極的な買いは見られないが、政府が一段とコロナ規制を緩和し、経済がほぼ正常に回復しつつあることや、主要企業の資金が潤沢で増配や自社株買い計画の発表が目立つことから、押し目買い水準を探る展開になるだろう。
ロシアのプーチン大統領はウクライナ全土制圧のため強硬な姿勢を緩めない。核兵器を含めた「抑止力」の警戒態勢を引き上げたことに続き、ロシア軍はウクライナ、欧州で最大の原子力発電所を制圧するなど、核攻撃も除外しない一段と過激な攻撃に出ている。ウクライナのクレバ外相は「もし爆発すればチェルノブイリ原発事故の10倍の被害になる」と警告。欧州のみならず世界中に影響を与えかねないため警戒が必要だ。
FRBのパウエル議長は、高インフレが想定よりも長期化しており、労働市場も非常に逼迫しているため、3月FOMCで利上げを提案する意向であることを、既に明らかにした。高インフレが後退しなければ、50ベーシスポイントの利上げの準備もあると述べている。10日には2月消費者物価指数(CPI)が発表される。FOMC前では最後に発表される重要インフレ指標だ。特にFRBがインフレ指標として注目している燃料や食品を除いたコアのCPIは前月からさらに拡大し、前年比で1982年以降40年ぶり最大の伸びが予想されており、結果と市場反応が注目される。
経済指標では、1月貿易収支、1月卸売在庫(8日)、1月JOLT求人件数(9日)、2月消費者物価指数(CPI)、新規失業保険申請件数(10日)、3月ミシガン大消費者信頼感指数(11日)などが予定されている。
主要企業決算では、スポーツ用品小売りのディックス・スポーティング・グッズ、出会い系サイトのバンブル(8日)、サイバーセキュリティテクノロジーのクラウド・ストライク、食品会社のキャンベルスープ、(9日)、ソフトウェアメーカーのオラクル、電子署名ドキュサイン、化粧品小売りアルタ・ビューティ、電気自動車メーカーのリビアン・オートモーティブ(10日)などが予定されている。
新型コロナによる在宅で需要が急増したドキュサインは経済活動の正常化に伴う売上減少に警戒だ。一方、アルタ・ビューティは強い売上が期待される。
さらに、携帯端末アップルは8日に2022年初めての新製品イベント「Peek performance」の開催を予定している。低価格機種のアイフォーンSEの第5世代(5G)移動通信ネットワーク対応モデルの発表や、新型アイパッド・エア、自社製チップ搭載のマック新モデルの発表も予想されており、株価押し上げに繋がりそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》