来週の株式相場に向けて=年度末意識で「上げ賛成」の買い入るか
日経平均株価は9日続伸。今月14日から上昇を続け、この間3000円近い急騰を演じた。9日ザラバ安値2万4681円からの上昇率は14%強となり、2万8000円台を奪回。すでに2月下旬のウクライナ危機後の下落を大きく取り戻し、1月中旬以来、約2カ月ぶりの水準に値を上げている。
この上昇の背景には「過度の警戒感が薄れた海外投資家が、買い戻しを入れた」ことや「急激な円安進行でハイテク株などに見直し買いが流入した」ことなどが指摘されている。一時の総悲観から一転した急騰は、まさに「株式相場は不安の壁をよじ登る」という相場格言を地で行く展開となっている。常識的にみれば相場の一服はあって当然の局面だが、「個別銘柄をみればさほど割高な水準には買われていない」(アナリスト)との指摘もある。そんななか、来週は年度末という特殊要因がどう影響するかが最大の焦点となる。
配当権利付き最終日は29日、権利落ちが30日、年度末が31日、翌4月1日が新年度入りというスケジュールだ。権利落ち後の年金資金などによる配当再投資で、今年は1兆円規模の買い資金が先物へ入るとの観測もある。
特に、昨年3月31日の年度末終値(2万9178円)にどこまで接近できるかが注目される。今月上旬時点では昨年度末終値は遠く彼方の水準だったが、足もとの怒涛の上げでよもやの水準まで値を戻してきた。市場は上げ賛成の状況だが、ここからの一段高があれば4月以降の反動安も警戒される。この点が不安要因だろう。日経平均株価への影響力が大きい、東京エレクトロン<8035>やソフトバンクグループ<9984>といった値がさ株の動向が注目される。
来週は30日に米3月ADP雇用統計、31日にOPECプラス閣僚級会合、4月1日に米3月ISM製造業景況指数、そして米3月雇用統計が発表される。国内では31日にニトリホールディングス<9843>が決算を発表する。また、28日に東証マザーズにメンタルヘルステクノロジーズ<9218>、30日に同じく東証マザーズにギックス<9219>、31日に東証2部にノバック<5079>が新規上場する。4月1日には3月日銀短観が発表される。来週の日経平均株価の予想レンジは2万7500~2万8600円。(岡里英幸)