為替週間見通し:ドルは底堅い動きか、米金融引き締め観測強まる
【今週の概況】
■日米金利差の拡大予想でドル買い強まる
今週のドル・円は上昇。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が講演で、5月連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50ポイント利上げの可能性や中立を上回る水準まで金利を引き上げる可能性を示唆したことから、リスク選好的なドル買いが広がった。複数の地区連銀総裁が金融引き締めペースの加速が必要との見解を表明したことも意識されたようだ。3月24発表の新規失業保険申請件数は予想以上に減少し、1969年以降で最小となったこと、3月S&Pグローバル製造業PMIと同サービス業PMI速報値は2月実績を上回ったことも好感された。一方、日本銀行による金融緩和策の解除はかなり先になるとの見方や円安容認的な姿勢から、ドル買い・円売りが一段と強まる展開となった。
25日のニューヨーク外為市場でドル・円は、121円60銭から122円24銭まで買われた。
3月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値が下方修正されたため、ドル買いが一時後退した。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めペース加速を織り込み、10年債利回りが上昇したことから、日米金利差の拡大を想定したドル買いが再び活発となった。ドル・円は122円13銭でこの週の取引を終えた。今週のドル・円の取引レンジは119円04銭から122円44銭となった。ドル・円の取引レンジ:119円04銭-122円44銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い動きか、米金融引き締め観測強まる
来週のドル・円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め観測が強まり、ドル高円安の流れは変わらないとみられる。日本銀行が円安容認姿勢を見せていることも意識されそうだ。パウエルFRB議長は3月21日の講演でインフレ高進に対する今後の政策方針を示し、必要なら次回5月3-4日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を0.50%に拡大する考えを示した。
FRBは3月15-16日のFOMCで2018年12月以来の政策金利の引き上げに踏み切るとともに、年内は毎回利上げを実施する見通しを示した。2月消費者物価指数(CPI)が約40年ぶり高水準となり、政策対応を急ぐ。一方、日本銀行の黒田総裁は3月18日の金融政策決定会合後の記者会見で、緩和的な政策を堅持すると強調。また足元の円安については「日本経済にプラスという基本的構図に変わりはない」との容認姿勢を示した。日米金利差の拡大を見込んだドル買い・円売りは当面継続するとみられる。
なお、ロシアとウクライナの停戦交渉は難航しているもよう。一時的にリスク回避的な円買いが強まる可能性は残されているが、停戦交渉が進展した場合、欧米諸国の株式は持ち直す可能性があり、株高を背景としたリスク選好的な円売りが強まることも予想される。
【米・10-12月期国内総生産(GDP)確定値】(3月30日発表予定)
3月30日発表の米10-12月期国内総生産(GDP)確定値は前期比年率+7.1%と、改定値の+7.0%からやや上方修正される見通し。高成長の維持を好感した株高で円売りのほか、引き締め加速期待のドル買いが見込まれる。
【米・3月雇用統計】(4月1日発表予定)
4月1日発表の米3月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+45万人、失業率は3.7%の見通し。雇用情勢の改善が示されれば正常化を期待したドル買いに。底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融正常化スタンスで金利先高観は継続し、ドルを押し上げる見通し。
予想レンジ:120円80銭-123円80銭
《FA》