米国株式市場見通し:3月雇用統計に注目
四半期末、月末に向けた大規模なリバランスが予定されており、株式相場をもう一段押し上げる可能性がありそうだ。また、FRBが引き締めペースを加速する姿勢を表明するなか、週末に3月雇用統計が発表される予定で注目だ。非農業部門雇用者数の伸びは2月から鈍化する見込みだが、失業率は一段と低下が予想されている。求人件数が過去最高水準に達し総失業者数を大幅に上回っているほか、週次申請件数が1969年来の低水準に達するなど、労働市場のひっ迫は「不健全な水準に達した」とパウエルFRB議長は警告した。もし、雇用統計が予想を上回った場合、FRBの利上げペース加速計画を正当化することになる。
FRBはさらに、戦争が更なる供給ショックとなり、パンデミックに起因するサプライチェーンの混乱をさらに悪化させ、インフレ上方リスクになると警戒している。一部の金融機関のエコノミストはFRBが5月、6月のFOMCにおいて2会合連続で0.5ptの大幅利上げに踏み切り、政策金利のFF金利誘導目標を年末までに2.25%-2.5%近くに引き上げるとみている。年末までに3%に達するとの予想もある。しかし、株式相場は速やかな引き締めを織り込みつつあり、下落は限定的となりそうだ。投資家の恐怖心理を示すVIX指数も月初に37まで上昇したが、足元は20台にまで低下した。
そのほか、バイデン政権が28日に経済成長見通しを含む2023年の予算案を発表予定で注目だ。ウクライナ支援や新型コロナ対策、高インフレ対策などに焦点が集まるだろう。さらに、ウクライナ戦争が2カ月目に突入するなか、欧州は中国と4月1日に首脳会談を予定しており、ロシア支援を巡り警告するとみられる。西側諸国が対ロ制裁を強化しているものの停戦の兆しは見られず、戦争が長期化するリスクやプーチン大統領が化学兵器などを使用する可能性も依然リスク要因となる。石油、貴金属価格の上昇に加え肥料価格の上昇で、食料危機の懸念も浮上しており、経済への影響に注意が必要だろう。
経済指標では、2月前渡貿易収支、2月卸売在庫速報、3月ダラス連銀製造業活動(28日)、1月FHFA住宅価格指数、1月S&P20都市価格指数、3月消費者信頼感指数、2月JOLT求人指数(29日)、3月ADP雇用統計、第4四半期GDP確報値、同期個人消費(30日)、2月PCEコアデフレーター、3月シカゴPMI、週次失業保険申請件数(31日)、3月雇用統計、3月ISM製造業景況指数、3月製造業PMI確定値、2月建設支出(4月1日)、などが予定されている。
主要企業決算では、ヨガアパレル小売りのルルレモン、調味料メーカーのマコーミック、半導体関連のマイクロン・テクノロジー、オンラインペット用品小売りのチューイ、家具販売のRH、カルバンクラインやトミー・ヒルフィガーなどのブランドを運営するPVH(29日)、小売りドラッグストアのウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(31日)などが予定されている。
ルルレモンは3四半期連続で、アナリスト予想を上回る強い売上を計上しており、第4四半期も期待できそうだ。新たに参入したフットウェアや自宅フィットネスのミラーがどのように業績に貢献したかに注目だ。また、RHやPVHに加え、ペット関連の小売りも強い売上が期待できそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》