米国株式市場見通し:第2四半期入り、3月FOMC議事録に注目
ロシア、ウクライナ戦争の行方が引き続き不透明であるほか、FRBの引き締めペース加速がネガティブ要因となるが、第2四半期入りに伴う新規投資が相殺するだろう。今年の1-3月期の株式市場はパンデミックが始まった2年前以降で最悪となったが、4月は税還付金など新たな投資資金が相場に流入することなどから、1年を通じて最も相場が上昇する確率が高く、特に月後半からの持ち直しに期待したい。
FRBは6日に3月連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表する予定で注目だ。FRBはこの会合で、2018年以降で初めてとなる利上げを決定。内容については、特に株式相場に与える影響が大きいバランスシート縮小(QT)を巡る協議に焦点を当てたい。パウエル議長は早くて5月に計画を発表すると言及していたが、タカ派メンバーは経済にもはやパンデミック緊急対策の大規模緩和は必要でなく、できるだけ速やかにバランスシート解消を開始すべきと主張している。
同時に、強い雇用統計を受けて一部期間の長短金利が逆転したため、景気後退入りの兆候だとする警戒感も高まった。本年の投票権を有するカンザスシティー地区連銀のジョージ総裁はバランスシート解消を速やかに行えば利回り曲線がスティープニング化すると主張している。歴史的に逆イールドの発生で、全て最終的に景気後退入りに繋がっているわけではない。また、万が一、景気後退入りを示唆しているとしても、1年前後先のことになる。不安感から相場が過剰に下落した場合には、良い買い場になるだろう。
パウエル議長を含め、ほとんどのメンバーは段階的な利上げペースが好ましいとしているが、経済やインフレ指標次第で0.5ptの大幅な利上げにもオープンだとの見方を示しており、今後の指標結果が注目される。投資家や市場関係者はFRBの金融緩和解除の立ち遅れを指摘すると同時に、国債市場での長短金利の行方に一喜一憂している。急速で過剰な利上げがいずれ、景気後退につながるとの警戒感も根強い。FRB高官は総じて、利上げによる影響が制御可能だとみており、ソフトランディングを予想しているが、投機家、投資家の一部はハードランディングを警戒しており、こうした見方が上値を抑制する要因になりそうだ。
経済指標では、2月製造業受注、2月耐久財受注確定(4日)、2月貿易収支、3月サービス業PMI確定、3月ISM非製造業景況指数(5日)、週次新規失業保険申請件数、2月消費者信用残高(7日)、2月卸売売上高(8日)、などが予定されている。そのほか、FRBは6日に3月開催分のFOMC議事録を公表する。
主要企業決算では、衣料品メーカーのリーバイ・ストラウス(6日)、アルコール飲料会社のコンステレーション・ブランズ、加工食品メーカーのコナグラ・ブランズ(7日)、などが予定されている。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》