新興市場見通し:足元新興株が賑わうなか新市場スタート、早速IPOも

市況
2022年4月2日 14時52分

今週の新興市場では、日経平均が3週ぶりの下落となる一方で、マザーズ指数は3週連続の上昇となった。名実ともに新年度相場入りし、期末配当に絡んだ需給イベントを通過したことで日経平均のリバウンド一服感が意識されたとみられ、個人投資家の物色の矛先が中小型株に向いた。これまで米金融引き締め観測からマザーズ銘柄のような中小型グロース(成長)株は株価水準が大きく落ち込んでいたこと、米長期金利の上昇が足元一服していることも押し目買いを後押ししたと考えられる。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.7%であったのに対して、マザーズ指数は+4.2%、日経ジャスダック平均は-0.2%だった。

個別では、JTOWER<4485>が週間で66.1%高となり、マザーズ時価総額4位に浮上。大規模な通信鉄塔取得を発表し、成長期待が再燃した。ビジョナル<4194>は同11.5%高、フリー<4478>は同4.3%高となった。売買代金上位ではエッジテクノロジー<4268>やHENNGE<4475>が大きく上昇。また、JTOWERやKaizen Platform<4170>が週間のマザーズ上昇率上位に顔を出した。一方、メルカリ<4385>は同2.2%安と軟調。証券各社の目標株価引き下げが相次ぎ観測された。信用取引規制が強化されたグローバルウェイ<3936>も売りに押され、主要取引先のサービス停止が嫌気されたENECHANGE<4169>は下落率トップとなった。ジャスダック主力ではワークマン<7564>が同3.1%安、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同2.8%安と軟調。売買代金上位ではウエストHD<1407>が売り優勢となり、出前館<2484>などが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。一方、東映アニメーション<4816>は同2.5%高と堅調で、プラコー<6347>が上昇率トップとなった。IPOではマザーズに2社、東証2部に1社が新規上場。いずれも初値は大方の想定より伸び悩んだが、その後の株価は好調だった。

来週の新興市場では、目先リバウンドが続くとみておきたい。米個人投資家向け調査では「弱気」意見が後退し、やはり中小型グロース株に買いが向かっている。こうした事情は日本でも同様とみられ、JTOWERの人気化が呼び水となってマザーズの売買代金が膨らんでいるのも大きい。一方、米長期金利が見た目伸び悩んでいるのに反し、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利のマイナス幅はかなり縮小してきた。米連邦準備理事会(FRB)のインフレ抑制姿勢が背景にあり、米金融引き締めによる波乱の芽は残るとみておいた方がよいだろう。なお、4月4日から東証新市場「グロース」が465銘柄(外国株含む)でスタートする。

市場全体の売買代金が膨らみ、実態面の評価がなお高いビジョナルやウェルスナビ<7342>などもJTOWERに続く形で見直しの流れとなることに期待したい。今週上場のギックス<9219>などは引き続き需給重視の投資家の物色が活発となりそうだ。

IPO関連では、4月4日にセカンドサイトアナリティカ<5028>が東証グロースへ、7日にエフビー介護サービス<9220>が東証スタンダードへそれぞれ新規上場する。セカンドサイトはアナリティクスコンサルティングやAI(人工知能)製品を、エフビー介護は各種介護サービスを手掛ける。東証新市場でのIPO第1号となり、足元の新興株高の流れも追い風にご祝儀ムードが広がっているようだ。

《FA》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.