【杉村富生の短期相場観測】 ─ナスダック市場は底入れ、反発のタイミング!
「ナスダック市場は底入れ、反発のタイミング!」
●肝要なのは「変化の予兆を見逃すな!」
“最後の相場師”といわれた是川銀蔵先生は「変化の予兆を見逃すな」が口グセだったが、ここにきて外部環境に微妙な改善が見え始めている。すなわち、“三重苦”の好転である。この動きを敏感に感じ取ったのはNY市場、ナスダック市場だろう。いち早く底入れ、反騰態勢を鮮明にしている。東京市場は追随すると思う。
ウクライナ紛争は中立国のスウェーデン、フィンランドがNATO(北大西洋条約機構)加盟を申請、西側陣営の結束が強固になるとともに、新たな局面を迎えつつある。総力戦になった場合、経済力がモノを言う。ロシアのGDP(国内総生産)1.7兆ドルに対し、アメリカは23兆ドル、西側陣営上位10カ国では46兆ドルに達する。
中国の上海市などのロックダウン(都市封鎖)はピークを越えた。サプライチェーンの寸断は徐々に解消されるだろう。さらに、FOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーのコメントだ。アトランタ連銀のボスティック総裁が「9月利上げ見送りの可能性」を示唆、セントルイス連銀のブラード総裁が「来年には利下げ」と発言した。ブラード総裁はタカ派である。
もちろん、両氏ともに6月、7月の各0.5%(50bp)の利上げを前提にしている。しかし、タカ派一色だったFRB(米連邦準備制度理事会)の空気がインフレの動向、経済情勢、株式市場の動きなどを考慮し、ハト派的な意見が言えるムード(極端な金融引き締め姿勢の修正)に変わってきたのではないか。
なにしろ、NYダウは直近高値~直近安値(ザラバベース)の下落率が17.1%、ナスダック指数は同31.9%に達する。NYダウは5月中旬に8週連続の下落を記録した。1932年以来のことだ。ナスダック指数は昨年11月22日の1万6212ポイントを高値に、今年5月20日には1万1035ポイントまで下げた。下げすぎだろう。
●「ポストコロナ」の関連セクターの出番到来!
ナスダック指数の200日移動平均線との下方カイリは21.8%と、リーマン・ショック直後(2009年3月)以来の異常値となった。金利上昇が高PERのIT企業を直撃したのだが、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、イーベイ<EBAY>、エッツィ<ETSY>などeコマースの業績不振は「巣ごもり消費」の終焉を意味している。
半面、メーシーズ<M>は結婚式、パーティ用の高額衣料が売れ、好調だった。人流が復活、経済活動が正常に戻ってきたのだ。日本では外国人観光客の来日が本格化する。先のダボス会議では観光業の国別競争力の世界ランキング1位に日本が選定された。2位はアメリカ、3位はフランスだ。これは大きい。インバウンドの追い風となろう。
ポストコロナのラウンドワン <4680> [東証P]、オリエンタルランド <4661> [東証P]、共立メンテナンス <9616> [東証P]、三井不動産 <8801> [東証P]、イオンファンタジー <4343> [東証P]、三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]はじっくり狙える。“東京”が評価される。
指標的にはアメリカ10年物国債利回りが2.743%に低下、VIX(恐怖)指数は27ポイント台(3.07%下落)、ハイテクセクターの動きを占うSOX(フィラデルフィア半導体株)指数は3.87%の上昇だ。原油(WTI)は高止まりだが、金(ゴールド)は安い。海外情勢は落ち着いている。マーケットは“三重苦”を織り込み、克服しつつある。
一方、小物では6月末に1対2の株式分割を行うスポーツフィールド <7080> [東証G]、出遅れ修正の明治海運 <9115> [東証S]、機関投資家が猛攻の芝浦機械 <6104> [東証P]、将来性抜群の日本電子 <6951> [東証P]、切り口多彩な浜井産業 <6131> [東証S]などに妙味があろう。
2022年5月27日 記
株探ニュース