上値重い金(ゴールド)、FRB大幅利上げ見通しで金ETFから資金流出 <コモディティ特集>

特集
2022年6月29日 13時30分

の現物相場は6月、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ見通しを受けて軟調となった。ただ、景気減速懸念の高まりを受けて米国債の利回り上昇が一服し、ドル高が一服したことが下支えになった。現物相場は1805~1876ドルで推移しており、1800ドルの節目や5月安値1789ドルを割り込むと、テクニカル要因の売り圧力が強まるとみられる。

15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では75ベーシスポイント(bp)の大幅利上げが決定され、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は1.50~1.75%となった。高インフレが続くなか、7月の米FOMCでも75bp利上げが見込まれており、金ETF(上場投信)から投資資金が流出していることが圧迫要因になった。米FRBのFF金利見通しは今年末が3.4%、来年末が3.8%となっており、利上げが続くとみられている。

パウエル米FRB議長は議会証言で、米FRBはインフレ引き下げに「強くコミット」しており、景気後退リスクがあっても物価抑制に全力を傾けると述べた。5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.6%上昇し、40年ぶりの高インフレとなっている。ただ、各国中銀の利上げ見通しを受けて景気後退リスクも高まっており、米10年債利回りは3.48%で上昇が一服し、3%付近まで低下した。米金利は来年3月に3.5%付近でピークを迎えるとの見方も出ており、ドル安に振れれば金の下支え要因になる。

ただ、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は7月の理事会で政策金利を25bp引き上げると述べており、米FRBの利上げペースを上回ることはないとみられている。また、ECBはユーロ圏の国債市場の分断化防止措置の協議を進めており、7月の理事会までにまとまるかどうかも確認したい。

一方、ロシアとウクライナの戦闘が長期化していることも金の下支え要因である。主要7ヵ国首脳会議(G7サミット)で英国、米国、日本、カナダの4ヵ国はロシア産金の輸入禁止を発表しており、需給に影響するのかどうかも焦点である。

●JPX金先限は円急落で高値圏の推移

JPX金先限は円急落を受けて8106円まで上昇し、4月につけた上場来高値8160円が視野に入った。財務省と金融庁、日銀の3者会合で「急速な円安の進行が見られ、憂慮している」との声明文が出たが、円相場は日銀の金融緩和継続による日米の金利差拡大を受けて約24年ぶりとなる1ドル=136円台後半まで円安が進んだ。米国債の利回り上昇が一服したことや中尾元財務官の介入発言を受けて円安が一服したが、日銀の緩和政策に変わりがなければ年末までに140円を目指すとみられており、JPX金先限は高止まりする可能性がある。ただ、米国の景気後退リスクも高まっており、リスク回避の動きが出れば、買い戻し主導で円高に転じる可能性も出てくる。

●SPDRゴールド残高は大幅利上げ見通しで減少

世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は、米FRBの大幅利上げ見通しを受けて減少し、27日に1056.40トン(5月末1068.36トン)となった。今年末のFF金利見通しが3.4%となり、投資資金が流出した。

一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは6月21日時点で16万3287枚となり、2019年5月以来の低水準となった前週の15万4598枚から拡大した。ただ米FRBの大幅利上げ見通しが上値を抑える要因であり、戻りは売られやすいとみられる。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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