【杉村富生の短期相場観測】 ─海外投資家が日本株に注目する理由!

市況
2022年7月24日 9時15分

「海外投資家が日本株に注目する理由!」

●政治の安定、株主還元が魅力に!

日本市場は海外投資家主導のマーケットである。実に、委託売買代金シェアの6~7割を海外投資家が占めている。このため、システム売買、先物などの動向に影響を受けやすい。いわゆる、“空中戦”だ。そして、値動きは一方通行になる。特に、ハイフリークエンシー・トレーディング(高頻度・超高速取引)にはついていけない投資家が多いと思う。

その海外投資家が7月に入って、買い越しに転じている。7月第1週(7月4日-8日)の買い越し額は1兆1890億円(現物株と先物の合計)だった。かなりのハイペースである。当たり前の話だが、彼らが買えば上がる。なにしろ、最大の投資主体なのだ。海外投資家の買いは継続する傾向がみられる。今後が楽しみじゃないか。

彼らが日本株に注目するのは、NY市場の底打ち観測に加え、顕著な出遅れ感、好業績(中国景気の回復)、政治の安定、株主還元姿勢の積極化などにあろう。海外投資家は日本、および日本企業に対し、大きな誤解をしていた。それがここにきて解消されつつある。たとえば、株主還元だ。日本企業は「消極的」とのイメージを持っている。

しかし、これは違う。配当+自社株買いは2021年度が23.4兆円(うち配当が16.4兆円)、22年度が26兆円(同17.5兆円)、23年度が27.4兆円(同18.4兆円)と増えている。3年連続の過去最高更新だ。企業のコーポレートガバナンスは確立され、スチュワードシップコードの取り組みは強化されている。

●ANYCOLOR、BeeXなどを!

それに、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)では相変わらず割安だ。ちなみに、日経平均株価のPERは13.2倍、PBRは1.19倍だが、世界平均(MSCI AC WORLDベース)ではPERが14.5倍、PBRが2.58倍に評価されている。日本企業の低PBRはROE(自己資本利益率)の低さにあった。それが近年、改善が著しい。ROEが9~10%になるのは時間の問題だろう。

物色面ではどうか。やはり、値幅が取れるのは小物だ。アメリカ市場では中・小型株が元気だし、日本ではマザーズ指数が堅調だ。大きく売り込まれた銘柄が戻りに転じている。具体的にはANYCOLOR <5032> [東証G]、BeeX <4270> [東証G]などがそうだ。ともに、切り返しの動きを強めている。大きな上値が期待できる。

ANYCOLORの高値は6月16日の9200円だ。その後は利食い売りに押され、5500円台まで下落していたが、このところ猛烈な反発をみせている。一方、BeeXの高値は3月1日の5880円だ。それが何と、6月20日には1411円の安値をつけた。需給悪は恐ろしい。だが、これまた戻り歩調に転じている。

株主面は面白い。ANYCOLORにはソニー・ミュージックエンタテインメント、フリークアウト・ホールディングス <6094> [東証G]の創業者でエンジェル投資家としても著名な本田謙氏が登場、BeeXには大株主にテラスカイ <3915> [東証P]、サーバーワークス <4434> [東証P]、NTTデータ <9613> [東証P]、TIS <3626> [東証P]などが名を連ねている。“毛並み”は良好である。

このほか、PERが8.0倍、PBRが0.72倍、配当利回り3.64%のグローバルキッズCOMPANY <6189> [東証P]、同様にPERが6.5倍、PBRが0.87倍、配当利回り3.74%のドリームベッド <7791> [東証S]は狙える。グローバルキッズCOMPANYはさくらさくプラス <7097> [東証G]と経営統合することで基本合意している。

2022年7月22日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.