投資歴40年超で、資産10億円&配当収入4000万円を築いた「鈍感力」
第27回 日本株&アメ株で勝つ人~個人投資家4800人の調査で判明!
(億り人・バガー投資家・松本哲夫さんの場合その1)
専業投資家歴は40年以上、獲得したリターンは10億円を超える億り人。航空自衛隊入隊後に医学部に挑戦中、父が毛糸相場の営業に引っかかり、財産のほとんどを失いかける窮地に陥る。松本さんが交渉し、財産を取り戻したことで、家族の資産運用を任されたことが投資家としての道を歩み始めるきっかけとなった。1980年代後半のバブル経済の頃には運用資産は2億円に到達。その後、平成バブルの崩壊や2008年のリーマン・ショックも通過し、以後は右肩上がりで資産を膨らませてきた。投資スタイルは割安成長株への長期・分散投資と配当金の再投資。60代で初めて結婚の後、配当収入は3倍に増え、マイホーム取得と、幸運が続く。写真は愛犬のエルザ。
「株式投資はどんなに頑張っても60%は運。資産を築いたのは、運が良かったから」。こう謙遜するのは、今回登場する専業投資家の松本哲夫さんだ。
投資歴は40年以上。バブル崩壊から幾度ものショックをくぐり抜け、日本株投資のみで10億円以上のリターンを稼いでいる。本人の言う運も味方にした実力を磨いてきたからこその成果だ。
投資を本格的にスタートしたのは第1次オイルショック後の1970年代の半ば頃。それから40年以上にわたり専業投資家として投資に向きあってきた。
成功の鍵となったのは、目先の株価に一喜一憂しない鈍感力と、時勢を投資へと機敏に反映させる柔軟力にある。これらを3回に分けて紹介していく。初回は、鈍感力に焦点を当てて成功の軌跡を辿っていく。
20年以上保有しているフジミインコ・ピラー工業は5倍株を達成
松本さんの軸となる投資スタイルは、割安成長株への長期分散投資だ。成長の見立てが崩れないうちは銘柄を保有し、配当金を再投資に回すことで雪だるま式に資産を膨らませることに成功した。
持ち前の鈍感力は、利確を焦らないグリップの強さにある。2008年のリーマン・ショックや20年のコロナショックなど、これまで幾度となく襲ってきたショックを通過しても成長余地を確信した銘柄を売却することは決して行わない。
成功例の1つが、バブル崩壊後の1990年代後半から20年以上も保有を続けているフジミインコーポレーテッド<5384>。その後にITバブル崩壊やリーマン・ショック、そして最近のコロナショックと、幾度となく襲った暴落時にも動揺することなく、保有を続けてきた。
■フジミインコの年足チャート(1995年~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
同社は半導体ウエハー用研磨材の大手で、薬液による化学反応の要素を組み合わせた化学的機械的研磨(CMP)用の液状研磨材の開発なども手がけている。半導体の製造には同社の製品は欠かすことができず、海外勢からの引き合いも強い。主要顧客には台湾積体電路製造<TSM>やサムスン電子も含まれる。
松本さんが評価したポイントも、半導体ウエハー用研磨材で世界シェアが90%と同社が圧倒的なシェアを誇っていることにある。松本さんはその技術力の高さに惚れ込み、少しずつ同社株を買い増してきた。
足元の平均取得単価910円に対し、株価は7倍まで上昇。含み益は2500万円を超えており、松本さんのポートフォリオでは含み益の大きい銘柄の1つだ。
5倍株、実質の配当利回りは20%超の銘柄も
同時期に取得した日本ピラー工業<6490>も技術力の高さを評価した銘柄の1つ。同社も半導体製造装置向け製品でグローバルシェア90%の製品を抱え、コロナ禍では半導体需要の高まりを受け業績は好調だ。
平均取得単価は500円で、好業績とともに株価は伸長し、足元の株価は2600円台と5バガー(5倍株)を達成。4000万円を超えるリターンを獲得している。
■ピラーの年足チャート(1995年~)
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