明日の株式相場に向けて=再び忍び寄る米インフレ懸念
23日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比341円安の2万8452円と4日続落。約2週間ぶりに2万8500円を割り込んだ。市場は再び米インフレ懸念に揺れている。26日の米ジャクソンホール会議でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がタカ派発言を行うのではないか、という警戒感が高まったのだ。
ジャクソンホール会議の先にある9月米連邦公開市場委員会(FOMC)に目を向けてみると、直近のFedウォッチでは0.5%利上げの可能性は約4割に対して、0.75%が約6割となっている。利上げ幅の確率は、1週間前とは完全に逆転している。このパウエル発言への警戒感の高まりの背景にあるのが、急ピッチで進んだ株高だという。「利上げ減速期待で株高が進んだことによる資産効果でインフレ率が高止まりすることが警戒されている」という解説がなされている。となると、「株価はどの水準なら適正で、どこからが行き過ぎなのか」との投資家からの疑念は当然湧き上がってくるのだが、26日を意識して急ピッチの上昇に対する調整はやむなしという状況だ。
加えて、注視されるのは原油動向だ。米7月消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったのも、「結局は米ガソリン価格の低下を映したもの」(アナリスト)とも言われている。足もとの原油価格は2月のウクライナ危機勃発前の水準まで下落している。そんななか、原油安を警戒する産油国からは9月OPECプラスで減産を模索している、という報道も流れている。
結局は、当面の相場は日本株で言うなら「東京エレクトロン<8035>買い、INPEX<1605>売り」か、あるいはその逆かということだが、いずれにせよ7月以降、上昇基調を強めてきた株式市場は8月下旬から9月に向けては荒い値動きが続くことを想定する必要がありそうだ。
今晩は米7月新築住宅販売件数が発表される。また、米8月総合購買担当者景気指数(PMI)や同リッチモンド連銀製造業指数なども公表される。米国の高級住宅建設会社、トール・ブラザーズ<TOL>の決算も予定されている。