明日の株式相場に向けて=「原発関連」と「EV関連」の2頭立て馬車

市況
2022年8月25日 17時00分

きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比165円高の2万8479円と6日ぶりに反発した。ただ、出来高は2兆円ソコソコで様子見ムードは拭えず、満を持して切り返したという感触はない。米カンザスシティー連銀主催の経済政策シンポジウム、いわゆるジャクソンホール会議がきょう(日本時間では明朝)から27日までの日程で開催されるが、マーケットが注目するのは日本時間あす夜11時頃に行われるパウエルFRB議長の講演である。市場関係者は「パウエル氏の発言はある程度タカ派的な内容が予想されるだけに、マーケットは事前に身構えているが、通過すればいったんアク抜け感が出るのではないか」(生保系エコノミスト)という見方も出ていた。

しかし、油断はできない。焦点となるのは9月下旬開催のFOMCにおいて政策金利の引き上げ幅が0.75%か0.5%かという近視眼的な思惑ではなく、来年に果たして利下げがあるのかどうかという大局的な部分である。当然ながらFRBは来年の利下げの可能性についてはこれまで一言たりとも触れておらず、ここ最近の戻り相場が投資マネーの“早過ぎる見切り発車”であったとすれば、その分の調整圧力が9月9日のメジャーSQ算出に向けて発現する可能性がある。売り方の仕掛けとしても9月初旬は要注意となる。

個別株は企業の決算発表通過を契機として、これまで雌伏していたテーマ材料株に物色の矛先が向いている。きょうは前日に続き原発関連株に買いが向かった。その象徴株である東京電力ホールディングス<9501>は前日に10%高と値を飛ばし、プライム市場で値上がり率首位と躍進したが、きょうはその反動もあって上値の重い展開を強いられた。同社株については、「一時は売り買い拮抗状態にあった信用取組が大きく緩み、大幅に買い長となっていることが上値の重さにつながっている」(ネット証券マーケットアナリスト)というが、売り残が増えてくれば再び需給相場の素地を開花させるケースも考えられる。

一方、三菱重工業<7011>は続伸。SMRと呼ばれる小型原子炉に市場の関心が向くなか、同社は超小型のマイクロ炉の開発を進捗させている。前日に7%近い上昇でフシ目の5000円台をクリアしたが、その余勢を駆ってきょうは5400円目前まで水準を切り上げる場面があったものの、朝高後に伸び悩んだ。こちらは東電HDとは異なり実態面からも水準訂正余地を内包。PBRが解散価値とほぼ同等の1倍近辺で割安感が強い。足もとの業績も22年4~6月期は最終利益段階で前年同期比5割増と好調をキープしている。

このほか、高田工業所<1966>、日本製鋼所<5631>、太平電業<1968>、木村化工機<6378>、岡野バルブ製造<6492>、TVE<6466>、助川電気工業<7711>などが一斉高に買われた。同関連の穴株では、原発向け振動試験装置や計測器を手掛けるIMV<7760>や、原発向けバルブ・アクチュエーターで圧倒的商品シェアを誇る日本ギア工業<6356>が有力視される。両銘柄とも株価が中低位に位置することもありマークしておきたい。

原発関連以外でもテーマ株物色の動きは花盛りの様相を呈している。直近は省エネ効果の高いEV向け次世代半導体量産に向けた動きが大手メディアで取り上げられたが、この流れを汲んでパワー半導体を含むEV用デバイスを手掛ける銘柄群が動兆しきりである。

前週取り上げた三光合成<7888>が地味ながら上値を慕う動きにあり、滞留出来高の多い430円どころを明確に上抜いてくれば上げ足を速める公算がある。中小型材料株も全体的に株価3ケタ銘柄に投資資金が集まりやすい傾向があるようだ。EVの基幹部品であるリチウムイオン電池向け高電流ヒューズが需要旺盛な松尾電機<6969>がスルスルと上値を追い4ケタ大台目前。パワー半導体関連で600円台後半に位置していたタムラ製作所<6768>も急動意している。また、半導体周辺ではメモリー関連主力で若干趣きは異なるが、300円台のAKIBAホールディングス<6840>に値ごろ妙味がある。

あすのスケジュールでは、8月の都区部消費者物価指数(CPI)が朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札も予定されている。海外では7月の米個人所得・個人支出のほか、8月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)も発表される。また、パウエルFRB議長のジャクソンホール会議での講演が日本時間午後11時ごろに予定されており、マーケットの関心が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2022年08月25日 18時23分

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