明日の株式相場に向けて=「ディフェンシブグロース」を探す局面か
市場の注目を一身に集めてきた米ジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言だが、蓋を開ければ予想を上回るタカ派姿勢を示したことから、日米株式市場は急落した。日経平均株価は前週末に比べ762円安に売り込まれ、約3週間ぶりに2万8000円を割り込んだ。
市場は、「Fed(米連邦準備制度理事会=FRB)と闘うな」という、有名なウォール街の相場格言を地で行く展開となりつつあるようだ。パウエル議長はインフレ抑制を「やり遂げるまでやり続けなければならない」と述べたが、市場関係者からは「金融市場が来年の利下げまでを織り込み始めたことに対する警句を投げかけた」(アナリスト)と見る声は多い。
それでも、パウエル議長が強調してきたことは、今後は「経済のデータ次第」という点だ。その意味では、9月2日の米雇用統計や13日の8月消費者物価指数(CPI)などの結果次第では先行き楽観論がぶり返す可能性も否定はできないものの、家賃など粘着性の高いインフレ指標が高止まりすることも視野に、当面はFRBに敬意を示す意味でも株価は上値が重い展開が続くとみておいた方がいいのだろう。
そこで、見直される投資テーマのひとつが、ディフェンシブ銘柄ながら着実な成長性も期待できる「ディフェンシブグロース」銘柄への投資だ。通信セクターの日本電信電話<9432>やKDDI<9433>、ソフトバンク<9434>などはその代表例だが、薬品の武田薬品工業<4502>やロート製薬<4527>、あるいはユニ・チャーム<8113>などのような銘柄が物色対象に当てはまるのかもしれない。