雨宮京子氏【先行き不透明な相場、FOMCを境にどう動く】(1) <相場観特集>
―目先自律反発もFRB利上げ警戒で模様眺めムード―
3連休明けとなった20日の東京株式市場では日経平均株価が堅調な値動きを示した。前日の米国株市場ではハイテク株中心に買い戻され、NYダウ、ナスダック総合株価指数いずれも反発。これを受けて東京市場も足もとリバウンドに転じている。ただ、空売りの買い戻し一巡後は上値も重い展開だ。日本時間の明後日未明に結果が判明する米連邦公開市場委員会(FOMC)を見極めたいとの思惑から買いが手控えられた面もある。秋相場の入り口に立つ日米株式市場はここからどう動くのか、先読みに定評のある市場関係者2人に今後の見通しと物色の方向性などについて聞いた。
●「上値重いも下値抵抗力発揮、個別株重視で」
雨宮京子氏(雨宮総研 代表)
全体相場は引き続き上値の重い展開が見込まれる。マーケットの最大の関心事であった米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め政策だが、悪材料としては最終段階といってよく、ここから先は金利上昇に伴う景気悪化が警戒される。つまり逆業績相場の動向を見極めなければならない。日本株にとって円安進行は全体の企業業績にプラス材料となるが、輸出産業は数量面で伸び悩むことが予想され、株価的には上値は限定的となろう。
一方、円安でコストアップが警戒される国内産業だが、水際規制の緩和などに伴うリオープン(経済再開)に対する期待は大きく内需景気の底割れはなさそうだ。米国株市場を横目に上値は重い一方で、下値を売り込む動きも見込みにくい。比較的狭いゾーンでのもみ合い相場になるのではないかと考えている。向こう1ヵ月でみた日経平均のレンジは上値が2万8000円台半ばで、下値は2万7000円ラインがとりあえず抵抗ラインとなりそうだ。仮にここを下回る場面はイレギュラーと判断し、買い向かって報われるとみている。
個別株重視の地合いであり、投資家もうまく立ち回れば十分にリターンが見込める相場である。例えばLNGなどのエネルギー関連では東洋エンジニアリング <6330> [東証P]をマーク。インバウンド関連では航空券予約サイトのエアトリ <6191> [東証P]や、商業施設やホテル建設を得意とするイチケン <1847> [東証P]などが注目される。イチケンは関西地盤で大阪万博関連としての切り口もあり、5.5%前後の高配当利回りも見逃せない。
更に不動産分野への物色人気の広がりを想定して、東京23区で“駅近”に特化した投資用物件を扱う不動産テックのタスキ <2987> [東証G]も面白い存在だ。あとは地銀セクターにも思惑があり、そのなか傘下に常陽銀行と足利銀行を持つめぶきフィナンシャルグループ <7167> [東証P]に着目したい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。
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