【杉村富生の短期相場観測】 ─基本は個別銘柄対応の投資戦術!(訂正)

市況
2022年10月9日 9時15分

「基本は個別銘柄対応の投資戦術!」

●月末~月初の暴落、急騰劇は需給要因!

忙しい相場である。世界の株式市場は乱高下を繰り返している。ジェットコースター並みの激しい値動きだ。9月末の急落局面はバンジージャンプとか、秋の日の「つるべ落とし」などと形容する人がいた。しかし、10月に入ると様相は一変し、猛反発をみせた。何がどう変わったのだろうか。

いや、外部環境はほとんど変わっていない。各国中央銀行は利上げ、QT(量的金融引き締め)を継続中だ。当面、引き締めの手を緩めることはないだろう。ではなぜ、暴落(8月下旬~9月末)→急騰劇(10月以降)が演じられたのか。それは主に月末月初の需給要因である。

すなわち、機関投資家のポートフォリオ調整(金利上昇を受け株式などのリスク資産のウエートを落とし、債券にシフト)、日本の場合は日経平均株価の採用銘柄の入れ替え(約5200億円の売り圧力)があった。これが9月末に一巡し、ショート筋の売りポジションの手仕舞いとともに、買い気が戻っている。ただ、週末は再び荒れもようだが……。

NYダウは9月30日の安値2万8715ドルが10月5日には3万0454ドルに、日経平均株価は10月3日の安値2万5621円が10月6日には2万7399円まで上昇した。上げ幅はNYダウが1739ドル、日経平均株価が1778円だ。NYダウは8月中旬以降の下落幅の31.2%、日経平均株価は49.3%を奪回したことになる。

なお、8月16日の高値(3万4281ドル)に対するNYダウの9月30日までの下落幅は5566ドル、下落率は16.2%、日経平均株価は8月17日の高値(2万9222円)→10月3日の安値までの下落幅は3601円、下落率は12.3%だ。NYダウは6月17日の安値(2万9653ドル)を下回ったが、日経平均株価は6月20日の安値(2万5520円)を下回っていない。日本市場の相対的な強さが際立っている。

●マイクロアド、K&Oエナジーグループなどを!

この背景にはFRB(米連邦準備制度理事会)と日銀の金融政策の違い、GDP成長率(アメリカは2四半期連続のマイナス、日本は3四半期連続のプラス)の差、IMF(国際通貨基金)が近く発表する経済見通しでは先進国において、日本だけが上方修正含み、などがあった。さらに、日本株の出遅れ(株価指標)などの要因がある、と思う。

このほか、オーストラリアの利上げ幅縮小(市場予測の0.5%に対し0.25%にとどめる)、英・トラス政権の減税案の撤回、親ロシア派の伊・メローニ首相(10月13日以降に就任予定)のウクライナ・ゼレンスキー大統領との電話会談(欧州諸国と歩調を合わせ、ウクライナを支持すると明言)などがマーケットに安心感を与えたのだろう。

こうした状況下、大手証券の著名なストラテジスト(戦略家)は「ベアマーケットがブルマーケットに変化するかもしれない」と述べている。ベア(弱気)がブル(強気)に変わる? いや~、喜ばしい限りだが、そう簡単にはいくまい。やはり、ウクライナ戦争の終結、インフレの収束、利上げ打ち止めの兆候が不可欠ではないか。

したがって、ここは引き続いてベアマーケットとの認識が必要だし、個別銘柄対応の投資戦略が求められる。何を狙うか。まず、マイクロアド <9553> [東証G]だ。大株主にサイバーエージェント <4751> [東証P]、ソフトバンク <9434> [東証P]、SCSK <9719> [東証P]などが名を連ねている。

ウェブ広告デジタルサイネージが主力の広告テクノロジー企業だが、資本・業務提携先のSCSKなどの支援を得てデータプロダクト事業に注力中だ。膨大なデータ(提供企業は200社超)を分析、販促など様々な用途に使う。この分野は年率40%の成長が期待できるという。

次はK&Oエナジーグループ <1663> [東証P]だ。千葉県産の天然ガス開発、LNG(液化天然ガス)の輸入業務、世界シェア5%を占めるヨウ素(造影剤、液晶、医薬品向けに需要増)の生産を手掛けている。OPEC(石油輸出国機構)プラスで決定した日量200万バレルの減産計画は結果的に、好業績を支援するだろう。

このほか、グローバルニッチ企業の新日本科学 <2395> [東証P]、湖北工業 <6524> [東証S]、マイクロ波化学 <9227> [東証G]、イーディーピー <7794> [東証G]。三和油化工業 <4125> [東証S]、サカタのタネ <1377> [東証P]は引き続き狙える。

2022年10月7日 記

株探ニュース

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