デリバティブを奏でる男たち【37】 ヘッジファンド業界の総合商社、マン・グループ(後編)

特集
2022年10月10日 13時30分

◆マンGPM

世界最大の上場ヘッジファンドである英マン・グループは、マンAHL、マン・ヌーメリック、マンGLG、マンGPM、マンFRMの主力5社により構成されています。前編では、マンAHL、マン・ヌーメリック、マンGLGの3社を取り上げましたので、後編ではマンGPM、マンFRMについて触れていきたいと思います。

2017年にマン・グループが創設したマンGPM(グローバル・プライベート・マーケッツ)は、2016年に買収したブリッジ・レーン・キャピタルと2017年に買収したアアルト・インベストメント・ホールディングスがベースになっています。

ベースとなったブリッジ・レーンは元々、ヘッジファンドのホワイトキャップ・アドバイザーズでマネージング・ディレクターを務めていたブライアン・ブローズダーとウェスティン・ロヴィが2012年に共同で設立した、未上場企業の債務に投資するヘッジファンドでした。

また、ベースとなったもう1社のアアルト・インベストメントは、ミッコ・ヴァルテリ・シルヤネンとペテリ・ベルンハルト・バーマンが2010年に共同で設立した、米国および欧州を拠点とする不動産投資会社でした。

ブリッジ・レーンとアアルトを統合したマンGPMは、不動産やクレジット、インフラストラクチャなどの非公開市場への投資に強みを持っています。このマンGPMは、UBSグループ<UBS>からマン・グループに転籍し、マルチ・マネージャー・ビジネス部門を経て現在はマンGPMの責任者となっているエリック・バールと、マン・グループでグローバルセールス製品管理責任者を務めていたイアン・スワロー最高執行責任者(COO)が共同で管理しています。

◆マンFRM

一方、マンFRM(ファイナンシャル・リスク・マネジメント)は、野村ホールディングス <8604> [東証P]の日本法人で働いていたブレイン・トムリンソンが、1991年に設立したFRMがベースになっています。FRM は90年代後半から機関投資家向けに、ヘッジファンドに投資するファンドを運用し、その分野では革新的な企業と評されていました。

マン・グループはファンド・オブ・ヘッジファンズ商品の強化を狙い、2012年にFRMを買収。マルチ・マネージャー・ビジネス部門と統合してマンFRMが誕生します。その後、2014年にはクレジット投資のヘッジファンドであるパイングローブ・アセット・マネジメントを買収。2015年にメリルリンチ・オルタナティブ・インベストメンツのファンド・オブ・ヘッジファンド・ポートフォリオを買収するなど業容を拡大してきました。

ヘッジファンドの投資スペシャリストとなったマンFRMは現在、CEO(最高経営責任者)のマイケル・ターナーが率いています。彼はマンFRMに参加する前は、アスペクト・キャピタル・マネジメントでリサーチ責任者をしていました。アスペクト・キャピタル・マネジメントは、マンAHL の前身であるAHLの共同創業者マーチン・ルークが、マン・グループを退社後に創設したクオンツ・ファンドです。マイケル・ターナーは2007年にマンFRMに参加し、COOを務めた後、CEOへと昇格しています。

(続きは「MINKABU先物」で全文を無料でご覧いただけます。こちらをクリック

◆若桑カズヲ (わかくわ・かずを):

証券会社で株式やデリバティブなどのトレーダー、ディーラーを経て調査部門に従事。マーケット分析のキャリアは20年以上に及ぶ。株式を中心に債券、為替、商品など、グローバル・マーケットのテクニカル・需給分析から、それらに影響を及ぼすファンダメンタルズ分析に至るまで、カバーしている分野は広範囲にわたる。MINKABU PRESS編集部の委託により本シリーズを執筆。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.