【クラウドファンディング】1細胞を正確に操作 ハンドリングシステム「TOPick」のヨダカ技研、10月17日募集開始

経済
2022年10月13日 13時16分

1つの細胞を迅速、正確に操作する「1細胞ハンドリングシステム」の開発・販売を行うヨダカ技研株式会社(川崎市幸区)が、株式投資型クラウドファンディング(普通株式型)による出資を募集します。申し込みは10月17日19時30分開始を予定しています。

・ 普通株式型
・ 目標募集額:1500万円、上限募集額:9900万円
・ エンジェル税制あり(優遇措置B)
・ みなし時価総額:9億円
・ 類似上場企業:免疫生物研究所、リプロセル、フェニックスバイオ、ジーエヌアイグループ、トランスジェニック、シスメックス

※「みなし時価総額」はミンカブ編集部が「発行済み株式数×募集株式の払込金額」により試算

「次世代バイオテクノロジー」の中心企業へ

ヨダカ技研は、1つの細胞を迅速、正確に操作するポンプ技術をもとに、1細胞ハンドリングシステム「TOPick(トピック)」の開発・販売を行っています。

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(出典:FUNDINNO)

同社によると、近年のライフサイエンス研究では、1細胞の詳細な情報を調べるニーズが急速に高まり、世界的に巨大な1細胞プロジェクトが次々に立ち上がっているものの、日本はバイオ分野における分析装置の競争力が弱く、高額な海外製品を購入しているのが現状だといいます(NEDO技術戦略研究センター「TSC Foresight(2018年)」)。

また、そのような装置を使用しても、現状の細胞解析技術では、特徴的で重要な役割を担っている細胞を他の細胞と混ぜてすりつぶしてしまう手法が主流で、データを平均化しているため、その特徴を見いだすことが困難だといいます。

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(出典:FUNDINNO)

同社が独自のポンプ技術をもとに開発した1細胞ハンドリングシステム「TOPick」は、他社の約1/1000の液量である最小100ピコリットル(1ピコリットル=1兆分の1リットル)を正確に吸引でき、目的の細胞をリアルタイムで観察しながら採取し、専用容器に1個ずつ吐出する超微小液量操作が可能です(同社調べ)。


1細胞ハンドリング技術が下支えとなって発展するものとして、感染症や急性疾患、各個人の免疫抗体の保有量などを迅速に判定する確定診断システムがあるほか、石油代替燃料や医薬品を生産する有用微生物を探索する研究などにも応用される可能性があるといいます。

また、同社は独自の電気浸透流ポンプ(イオンの流れを利用したポンプ)を用いたモバイル投薬デバイスによる、副作用の少ない治療の開発も、代表の役員兼務先であるアットドウス株式会社(横浜市旭区)と共同で推進しています。

同社は「この要素技術(製品の開発に必要な基本技術)は、さまざまなことに応用できると期待しています。日本ならではの技術という独自の造語『ヤマトノミワザ(大和御技)』システムとして、新たな日本の産業の核となる『次世代バイオテクノロジー』の礎となる企業を目指します」としています。

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(出典:FUNDINNO)


病状迅速確定診断のための要素技術も

同社は自社のコア技術として、以下の3つを挙げています。

(1)超微小液量操作「TOPickポンプ」を核とする1細胞ハンドリング技術

同社の超微小液量ポンプ技術は、顕微鏡観察下で一つ一つの細胞を高精度、かつ迅速に分析容器へ直接移動させることができ、このときの液量は競合他社の1/1000以下です(同社調べ)。プールにバレーボールを投げ込んだとして、同社がバケツでボールを直接拾うのに対し、他社はボールと一緒にプールの水を全部回収するほどの違いがあるといいます。

また、他社製品は拾った細胞と一緒に吐き出す液量が多いため、吐出する瞬間を観察する機能がないことが多いのに対し、「TOPick」はリアルタイムで観察できるため、1細胞を正確に示すことができるとしています。

さらに、同社は1細胞の搬送に使用する技術についても、一から自社で開発を行っています。装置設計・電気設計・部品製作・プログラム開発などの各要素を開発から行うことは、以下のメリットにつながるといいます。

・継続的な開発、迅速な改良が可能となる

・装置トラブルの際、どこが故障しているかがすぐに分かるため、余計な部分の修理が不要で、顧客にとっては安心

・原価を抑えられることで、利益率が上がる

その他、1細胞ハンドリングと相性の良いマイクロデバイスの共同開発を公的研究機関や大学などと行い、製品化につなげています。

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(出典:FUNDINNO)

(2)病状迅速確定診断のための要素技術

同社は創業当初より、迅速に病気を診断するための要素技術開発を進めています。

同社によると、発熱時の迅速な病気の確定診断には、インフルエンザと溶連菌のキットか、新型コロナウイルスのキットを使うのが一般的ですが、検出感度が低いため、インフルエンザの場合は発熱後半日以上たってからクリニックに来るように言われたり、コロナに関しては、ワクチンを打っても免疫機能が数カ月で低下するなど、免疫機能は個人差だけではなく、時間でも変化が大きいことが推測されています。

しかし、発熱時、はしかや風疹などの病気のキットを1つずつ検査していくことは患者の負担が大きく、現実的ではないため、同社は数十種類の抗体検査を一度に短時間で分析できる卓上サイズの装置とキットの開発を進めています。これにより、救急患者の急性疾患の判定やアレルギー判定、または、自分がどのような免疫を獲得しているかなども分かるといいます。

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(出典:FUNDINNO)

要素技術開発は複数の助成事業を経て大きく進展し、今後は大手診断企業と提携するなど、生産や拡販を進める計画です。病院や救急車内での使用から始め、将来的には学校や幼稚園、企業などで、さまざまな病気の確定診断ができる世界を目指しています。

(3)超小型軽量「電気浸透流ポンプ」を核とするモバイル投薬システム

同社はアットドウス株式会社を通じて、大学などと共同で、モバイル投薬・点滴デバイスの研究開発を行っています。

薬は口から飲むのが一般的で、全身にわたる症状(感染症など)に関しては効果的ですが、患部が局所(がんや臓器の疾患など)の場合、そこに届くまでに相当量の薬が患部以外に反応していると考えられます。このような薬剤、特に抗がん剤による副作用を抑えるため、患部に直接、少量の薬液を注入するモバイル投薬装置を開発できれば、患者の負担を軽減できると考え、コア技術となる電気浸透流ポンプを開発・製造しています。

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(出典:FUNDINNO)

マウスへの投与では効果が出ており、共同研究先の大学から、学会発表などで発信を始めています。将来的には、患部に直接投薬することで、特定の感染症や局所的な麻酔、すい臓がん、乳がん、胎児への母体内治療などへと適用させていく計画です。

1細胞研究の市場規模は約720億~1080億円

同社は大学や公的研究機関などの共同研究先を中心に、1細胞ハンドリングシステムをそれぞれのニーズに合わせてカスタマイズし、導入しています。2022年9月現在、大型装置(約2000万円~)を8台、標準装置の改良版(約350万円~)を12台納品しています。

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(出典:FUNDINNO)

今後、共同開発から派生した新たな技術を継続的に製品化し、さらなる高機能化と安定化(使い勝手の良い製品)を目指して、長年のノウハウを盛り込んで民間企業向けに開発した「TOPickIV」を中心に販売展開していく方針です。

同社は、1細胞研究は世界的に見ても、ライフサイエンス研究で最も投資額が大きい分野で、市場規模は約720億~1080億円と考えています。今後、大学や公的研究機関での販売実績を積み重ねながら、民間企業への販売を増やしていく計画で、ターゲットとして、製薬・食品・総合化学メーカーを想定しています。

同社は創業時から、大学や公的研究機関と共同して、国や自治体、財団などの助成金を積極的に活用して開発を進めており、現在、単独で3件、共同で1件の特許を取得、また、単独で1件、共同で4件の特許を出願中です。知的財産権については、技術と保有事業とのシナジー、市場規模などに配慮して導入していくことが重要としています。

今後の成長に向けて

(1)強力な人材を採用し、販売の拡大に対応していく

大学や公的研究機関向けに製品を販売し、その顧客との共同研究により、新たな製品を生み出すというサイクルを活性化させることで、性能の向上を見込んでいます。まずは顧客と共同で助成金を獲得し、機能のブラッシュアップを進めていきたい考えです。

同時に自社独自の「技術企画営業」「サービス企画営業」といった人材を育てる計画です。前者は開発、マーケティング、営業を担い、市場に受け入れられる装置開発の目利き力を磨きながら、その意見を開発に取り入れていき、後者については、既に完成している装置を用いた新しいアプリケーション(応用)開発に注力し、装置の応用範囲を広げていきたいとしています。

(2)「ヤマトノミワザ」を海外へ展開し、さまざまな応用研究へ活用

1細胞事業と電気浸透流ポンプ事業については、2023年度中に海外展開の基盤づくりを行い、2024年度より、本格的な販売活動を行うことを計画しています。日本でも、大学などに埋もれている優れた技術を探し出し、それらを迅速に試作化・製品化して、自社の技術発展や国内の科学技術の活性化につなげたい考えです。

同社は1細胞研究について、がんやアルツハイマー、糖尿病などのメカニズム解明や、新しい創薬・食品の開発、エネルギー問題解決まで、さまざまな分野での貢献が期待できるとしています。

(3)将来のEXITはIPOを想定

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(出典:FUNDINNO)

(4)2028年に年間合計、1細胞関連機器販売台数560台を計画

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(出典:FUNDINNO)

類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)

・免疫生物研究所 <4570> [東証G]

・リプロセル <4978> [東証G]

・フェニックスバイオ <6190> [東証G]

・ジーエヌアイグループ <2160> [東証G]

・トランスジェニック <2342> [東証G]

・シスメックス <6869> [東証P]

発行者・募集情報

■募集株式の発行者の商号及び住所、資本金等

ヨダカ技研株式会社

川崎市幸区新川崎7番7号

資本金:5,000,000円(2022年9月16日現在)

発行済株式総数:100株(同)

発行可能株式総数:1,000株

設立日:2015年5月19日

決算日:9月30日

※2022年10月24日を効力発生日として、株主総会において、1株を9,000株とする株式分割に伴う発行済株式総数、発行可能株式総数の変更を決議しており、効力発生後の発行済株式総数は900,000株、発行可能株式総数は9,000,000株となる。

■募集株式の発行者の代表者

代表取締役 平藤衛

■募集株式の種類及び数(上限)

普通株式 99,000株

■募集株式の払込金額

1株あたり 1,000円

■資金使途

・目標募集額達成時の資金使途内訳

調達額1,500万円を以下の目的に充てる予定

人件費 770万円

筐体製作費 400万円

手数料 330万円

・上限募集額達成時の資金使途内訳

上記に追加し、調達額8,400万円(目標募集額1,500万円と上限募集額9,900万円との差額)を以下の目的に充てる予定

原材料費 3,617万円

人件費 1,560万円

研究開発費 1,375万円

手数料 1,848万円

■投資金額のコース及び株数

100,000円コース(100株)

200,000円コース(200株)

300,000円コース(300株)

400,000円コース(400株)

500,000円コース(500株)

1,000,000円コース(1,000株)

2,000,000円コース(2,000株)

4,000,000円コース(4,000株)

8,000,000円コース(8,000株)

※特定投資家口座以外からの申し込みの場合、500,000円コース(500株)までしか申し込みできない。なお、特定投資家口座からの申し込みの場合、8,000,000円コース(8,000株)を上限とする。

■申込期間

2022年10月17日~10月23日

■目標募集額

15,000,000円(上限募集額 99,000,000円)

※特定投資家口座全体からの申し込みの上限は72,000,000円とする。

■払込期日

2022年11月16日

■連絡先

ヨダカ技研株式会社

電話番号:044-201-9013

メールアドレス:info@yodaka.co.jp

※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、FUNDINNOの下記ページをご覧ください。

次世代バイオテクノロジーの礎!"ヤマトノミワザ"として開発する1細胞ハンドリングシステム「TOPick(トピック)」

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