為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、日本の大規模な円買い介入を警戒

通貨
2022年10月15日 14時49分

【今週の概況】

■米インフレ持続で32年ぶりのドル高円安水準

今週のドル・円は堅調推移。10月14日の欧米市場で1990年8月以来となる148円86銭までドル高円安に振れる場面があった。11月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で4会合連続となる0.75ポイントの追加利上げを想定して週初よりドル買い・円売りが優勢となった。13日発表の9月米消費者物価指数は前年比+8.2%、同コア指数は前年比+6.6%と市場予想を上回る伸びを記録したことから、リスク選好的なドル買い・円売りが一段と広がった。日本銀行の黒田総裁が大規模金融緩和を継続する意向を改めて表明したこともドル買い・円売りを促した。

14日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時148円86銭まで上昇した。この日発表された10月米ミシガン大学消費者信頼感指数速報値と同指数の1年期待インフレ率速報値はいずれも市場予想を上回り、米長期金利は上昇し、リスク選好的なドル買い・円売りが加速した。ドル・円は148円74銭でこの週の取引を終えた。今週のドル・円の取引レンジは、145円17銭から148円86銭となった。ドル・円の取引レンジ:145円17銭-148円86銭。

【来週の見通し】

■ドルは下げ渋りか、日本の大規模な円買い介入を警戒

来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め加速への期待感から、ドル高円安基調が見込まれる。足元で発表された米経済指標のうち、米雇用統計は失業率の低下と非農業部門雇用者数の増加、消費者物価指数(CPI)で物価の高止まりが示された。FRBは好調な雇用を背景にインフレ抑制に向け引き締め政策を強めるとみられ、金利先高観を背景にドル買いに振れやすい。国際通貨基金(IMF)は11日に公表した世界成長見通しで、来年は景気低迷を予想している。ウクライナ戦争や中国経済の減速は世界経済への打撃となっているが、米国金利の上昇を受けてドル選好地合いはしばらく続くと見られている。

ただ、急速な円安を懸念して日本政府による円買い介入が再び実施される可能性があるため、リスク選好的なドル買い・円売りは縮小する可能性がある。日本政府・日本銀行は9月22日に145円90銭付近で2.8兆円にのぼる大規模な為替介入を行った。ドル・円は一時140円台前半まで下落したが、日米金利差のさらなる拡大が予想されており、ドル買い・円売りが急速に拡大した。一部で投機的な円売りも観測されているため、鈴木財務相は「投機による過度な変動は容認できない」、「過度な変動には適切な対応を取りたい」と述べている。前回を上回る大規模な米ドル売り・円買いの為替介入が17日の東京市場で行われる可能性は否定できない。

【米・9月住宅建設許可件数】(19日発表予定)

19日発表の米9月住宅建設許可件数は155.0万件と、8月実績をやや上回る見通し。住宅市況はさえない状況が続いているが、市場予想を上回った場合、建設関連の回復が注目される可能性も。

【米・9月中古住宅販売件数】(20日発表予定)

20日発表の9月中古住宅販売件数は470万戸と予想されており、8月実績を下回る見込み。市場予想と一致、または下回った場合、金利安・ドル安の要因になりやすい。

予想レンジ:146円50銭-150円50銭

《FA》

提供:フィスコ

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