大塚竜太氏【乱高下続く東京市場、下期相場の先行きを読む】(1) <相場観特集>
―インフレ懸念払拭できず再びの米株安で、強弱観対立―
週明け17日の東京株式市場は日経平均株価が反落した。前週末は先物を絡めた買い戻しが加速し850円強の上昇をみせたのだが、その後の米株市場の反落で流れをつかむことができないでいる。今月から下期相場入りとなり、これから国内企業の決算発表も徐々に本格化してくるが、株式市場は年末に向けどういう軌道を描こうとしているのか。第一線で活躍する市場関係者2人に見通しを聞いた。
●「ハイボラ相場も押し目は仕込み好機に」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
東京株式市場は前週末の急反発で流れが変わったように見えたが、きょうは朝方からハイテク株中心に売りが先行し、今一つ波に乗れない状況となっている。米国株市場では9月のCPIが事前コンセンサスを上回り波乱展開が予想されたが、逆に材料出尽くし感から買い戻しに一気に火がついた。ただしインフレ警戒感は拭えず、今後米国企業の決算発表が本格化してくることを考慮すると依然として不安定な地合いが続くことが想定され、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともに再び下値を探る場面はありそうだ。
そうした場面では、東京市場も当然ながらその影響を受けることになるが、日本国内の固有の好材料に目を向ければそれほど悲観する必要はない。円安の急速な進行は痛しかゆしのところがあるものの、メリットを受ける側としては輸出セクターだけでなく、足もとで人気化しているインバウンド関連銘柄にも強力な追い風となることで、個別株の物色の裾野は広がっている。インバウンド関連については、出国規制をかけている中国からの訪日観光客が見込めず、今はまだ岸田政権による水際対策大幅緩和の恩恵がフル享受できない形ながら、いずれ中国人観光客も日本に訪れることになる。
向こう1ヵ月の日経平均株価の動きを予想すると、米国株次第のところはあるものの結局はボックス圏での往来が続くとみている。今後もボラティリティの高い相場が続くことは覚悟しておく必要があるが、下値はボックス相場の下限ラインである2万5500円、同様に上値はボックス相場の上限ラインである2万8500円どころがメドとなる。したがって下値突っ込み場面は買い下がり、リバウンド場面は漸次売り上がる方針で臨むのが得策であろう。物色対象としては不動産や電鉄株、小売り関連株など、やはりインバウンドに絡む内需株に優位性がある。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース