S&P500 月例レポート ― 金利上昇・高インフレの現実に屈した市場 (4) ―

市況
2022年10月26日 11時41分

●インデックス・レビュー

◇S&P 500指数

S&P500指数は9月に9.34%下落して3585.62で月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス9.21%)。8月は3955.00で終え4.24%の下落(同マイナス4.08%)、7月は4130.29で終え9.11%の上昇(同プラス9.22%)でした。過去3ヵ月では5.28%下落(同マイナス4.88%)、年初来では24.77%下落(同マイナス23.87%)、過去1年間では16.76%下落(同マイナス15.47%)、2022年1月3日の最高値からは25.25%下落(同マイナス24.35%)となり、今年の安値である3585.62(2022年9月30日)で月を終えました。コロナ危機前の2020年2月19日の高値からは5.89%上昇(同プラス10.41%)でした。

S&P500指数の9月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は8月の1.28%から1.91%に上昇しました(7月は2.68%)。年初来では1.85%(8月末時点では1.85%)、2021年は0.97%、2020年は1.73%、2019年は0.85%でした。2018年は1.21%、2017年は0.51%(1962年以来の最低)でした。9月の出来高は、前月比横ばいだった8月の後、31%増加(営業日数調整後)、前年同月比では40%増加し、過去1年間では11%減少しました。

9月に前日比で1%以上変動した日数は21営業日中13日(上昇が4日、下落が9日)、2%以上変動した日数は2日(下落が2日)でした。8月は1%以上変動した日数は23営業日中8日(上昇が4日、下落が4日)、2%以上変動した日数は3日(上昇が1日、下落が2日)でした。年初来では、1%以上変動した日数は93日(上昇が43日、下落が50日)、2%以上変動した日数は32日(上昇が15日、下落が17日)となりました。

2021年は、前日比で1%以上変動した日数は55日(上昇が34日、下落が21日)、2%以上変動した日数は7日(上昇が2日、下落が5日)となりました。2020年は1%以上変動した日数が109日(上昇が64日、下落が45日)、2019年は1%以上変動した日数が37日(上昇が22日、下落が15日)でした。

9月は21営業日中20日で日中の変動率が1%以上となり(8月は23営業日中17日)、3%以上の変動があった日が1日ありました(8月も1日)。年初来では1%以上の変動が166日、2%以上の変動が70日、3%以上の変動が15日、4%以上の変動が3日でした。2021年は1%以上の変動が93日、3%以上の変動が3日でした。2020年はそれぞれ158日と34日、2019年はそれぞれ73日と1日、危機に見舞われた2008年はそれぞれ228日(253営業日中)と75日でした。

9月は、値上がり銘柄数が少なく、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大幅に上回りました。9月の値上がり銘柄数はわずか27銘柄(平均上昇率は4.36%)で、8月の132銘柄(同4.01%)、7月の443銘柄(同10.44%)から減少しました。10%以上上昇した銘柄は3銘柄(同22.78%)で、8月の8銘柄(同16.43%)、7月の217銘柄(同15.61%)から減少しました。25%以上上昇した銘柄は1銘柄(同36.66%)でした(8月はゼロ、7月は15銘柄)。

一方、9月の値下がり銘柄数は476銘柄(平均下落率は10.26%)で、8月の369銘柄(同6.32%)、7月の60銘柄(同4.19%)から増加しました。9月は、10%以上下落した銘柄が233銘柄(同14.49%)と、8月の71銘柄(同13.51%)、7月の4銘柄(同15.93%)から増加しました。25%以上下落した銘柄数は10銘柄(同26.52%)でした(8月と7月はゼロ)。

過去3ヵ月間では値下がり銘柄数と値上がり銘柄数の差は縮小しましたが、引き続き値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回りました。値上がり銘柄数は147銘柄(平均上昇率は8.15%)と、8月末の136銘柄(同7.21%)から増加し、値下がり銘柄数は356銘柄(平均下落率は10.58%)と、8月末の367銘柄(同10.00%)から減少しました。10%以上上昇した銘柄数は44銘柄(平均上昇率は18.17%)で、8月末の35銘柄(同16.73%)を上回りました。10%以上値下がりしたのは161銘柄で(平均下落率は17.04%)、8月末は166銘柄(同16.40%)でした。過去3ヵ月間で25%以上上昇した銘柄数は7銘柄(8月末時点は5銘柄)で、20銘柄(同20銘柄)が25%以上下落しました。

年初来では、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差は拡大しました。値上がり銘柄数は70銘柄(平均上昇率は18.16%)と、8月末の116銘柄(同17.29%)から減少した一方、値下がり銘柄数は432銘柄(平均下落率は27.32%)と、8月末の385銘柄(同26.47%)から増加しました。10%以上上昇した銘柄数は43銘柄(平均上昇率は26.74%)と、8月末の56銘柄(同31.04%)を下回りました。10%以上下落した銘柄数は372銘柄(平均下落率は30.89%)で、8月末は309銘柄(同26.47%)でした。年初来で17銘柄(8月末は26銘柄)が25%以上上昇し、239銘柄(同156銘柄)が25%以上下落しました。

2021年通年では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回り、値上がり銘柄数は434銘柄(平均上昇率は34.30%)、値下がり銘柄数は70銘柄(平均下落率は12.01%)でした。10%以上上昇した銘柄数は367銘柄(平均上昇率は39.77%)、10%以上値下がりした銘柄数は36銘柄(平均下落率は19.27%)でした。259銘柄が25%以上上昇し、7銘柄が25%以上下落しました。

◇世界の株式市場:S&Pグローバル総合指数

金利の上昇と支出の減少が続くとの見方を材料に、9月はグローバル株式市場の下落が加速しました。S&Pグローバル総合指数は8月の3.63%下落(米国の3.94%下落を除くと、3.19%下落)の後に、9月は9.85%下落し(2020年3月に記録した14.61%下落以来の最大の下落率)、米国の9.45%下落を除くと、10.45%下落しました(7月は6.89%の上昇で、米国の9.28%上昇を除くと、3.57%上昇、6月は8.74%の広範囲にわたる下落で、米国の8.54%下落を除くと9.02%の下落、5月は0.20%の下落で、米国の0.36%下落を除くと0.04%の上昇、4月は8.11%の下落で、米国の9.09%下落を除くと6.70%下落、3月は1.70%の上昇で、米国の3.11%上昇を除くと、0.25%の下落)。

世界の株式市場は、過去3ヵ月間では7.14%下落し(8月末時点は6.00%下落)、米国の4.94%下落(同3.98%下落)を除くと10.21%の下落(同8.78%下落)、年初来では26.95%の下落で(同18.96%下落)、米国の25.73%下落(同17.98%下落)を除くと28.66%の下落(同20.34%下落)、過去1年間では22.95%の下落で(同18.02%下落)、米国の19.15%下落(同14.85%下落)を除くと27.96%下落しました(同22.24%下落)。

より長期では、米国のパフォーマンスが突出していました。過去2年間では、グローバル市場は2.10%下落しましたが、米国の5.47%上昇を除くと10.03%の下落でした。過去3年間ではグローバル市場は5.13%上昇しましたが、米国の18.82%上昇を除くと10.03%の下落でした。2020年11月3日の米大統領選挙以降では、グローバル市場は2.93%下落しましたが、米国の4.53%上昇を除くと12.23%の下落でした。

S&Pグローバル総合指数の時価総額は9月に6兆1860億ドル減少しました(8月は2兆5520億ドル減)。米国以外の市場の時価総額は2兆4630億ドル減少し(同9130億ドル減)、米国市場の時価総額は3兆7230億ドル減少しました(同1兆6390億ドル減)。9月は11セクター中上昇したセクターはなく、セクター間のリターンのばらつきは拡大しました(8月は1セクターが上昇、7月は11セクターすべてが上昇)。9月のパフォーマンスが最高のセクター(ヘルスケア、4.93%下落)と最低のセクター(不動産、13.22%下落)の騰落率の差は8.29%となり、8月の7.38%からは拡大しましたが、7月の9.79%は下回りました。年初来のパフォーマンスの最高セクター(エネルギー、10.11%上昇)と最低のセクター(コミュニケーションサービス、37.89%下落)の差は48.00%と8月末時点の51.75%から縮小しました。

8月に7ヵ月連続での下落の後に上昇した新興国市場は、9月に再び下落に転じました。新興国市場は1月の0.98%下落(2021年12月は1.41%上昇)、2月の3.49%下落、3月の2.55%下落、4月の5.63%下落、5月の0.31%下落、6月の5.80%下落、7月の1.05%下落、8月の1.02%上昇の後に、9月に10.44%下落しました。過去3ヵ月間では10.47%下落、年初来では26.12%下落しています。過去1年間では27.12%の下落となり、過去2年間では14.19%下落、過去3年間では8.90%下落しています。

9月は24市場のうち上昇した市場はありませんでした(8月は12市場、7月は17市場)。メキシコのパフォーマンスが最も良く、9月の下落率は0.70%にとどまり、年初来では14.19%下落、過去1年間では10.91%下落しています。2番目はトルコで9月は1.40%下落し、年初来では21.23%上昇、過去1年間では5.64%上昇しました。3番目はペルーで9月は1.94%下落し、年初来では10.77%下落、過去1年間では0.39%の上昇でした。フィリピンのパフォーマンスが最低となり、9月は16.38%下落し、年初来では29.64%下落、過去1年間では27.65%下落しました。これに続いたのがハンガリーで9月は16.07%下落し、年初来では50.80%下落、過去1年間では55.54%下落しました。3番目は台湾で9月は15.18%下落し、年初来では36.14%下落、過去1年間では30.10%下落しました。

先進国市場も広範囲にわたって下落し、2021年12月の4.08%下落、1月の5.82%下落、2月の2.25%下落、3月の2.21%上昇、4月の8.39%下落、5月の0.18%下落、6月の9.09%の下落、7月の7.88%の上昇、8月の4.16%下落の後に、9月は全体で9.79%下落しました。先進国市場は米国を除くと、3月の0.54%上昇、4月の7.06%下落、5月の0.16%上昇、6月の10.11%下落、7月の5.23%上昇、8月の4.61%下落の後に(2月は1.51%下落、1月は5.38%下落、2021年12月は4.73%上昇)、9月に10.46%下落しました。

先進国市場は、過去3ヵ月間では6.73%下落、米国を除くと10.13%下落、年初来では27.04%下落、米国を除くと29.53%下落、過去1年間では22.43%下落、米国を除くと28.27%の下落となりました。過去2年間では0.48%下落、米国を除くと10.62%下落、過去3年間では7.22%上昇、米国を除くと10.36%の下落となりました。9月は25市場中上昇した市場はなく、8月の1市場のみを下回りました(7月は23市場)。

パフォーマンスが最も良かったのシンガポールで9月は6.60%の下落で、年初来では22.73%下落、過去1年間では28.28%の下落でした。2番目はスイスで、9月は6.89%下落、年初来では27.81%下落、過去1年間では19.23%下落しました。3番目はイタリアで9月は7.16%下落、年初来では35.38%下落、過去1年間では32.55%下落しました。パフォーマンスが最低だったのはノルウェーでで9月は19.10%下落し、年初来では26.74%下落、過去1年間では26.10%下落しました。これに続いたのが韓国で9月は18.97%下落し、年初来では41.01%下落、過去1年間では41.84%下落しました。3番目はルクセンブルグで9月は14.57%下落し、年初来では39.14%下落、過去1年間では40.20%下落しました。

注目すべき点として、カナダは9月に9.01%下落し、年初来では20.28%下落、過去1年間では15.67%下落しました。ドイツは9月に9.43%下落、年初来では40.00%の下落、過去1年間では39.78%の下落となりました。英国は9月に9.89%下落、年初来では25.46%の下落、過去1年間では22.39%の下落となりました。日本は9月に10.46%下落し、年初来では26.88%下落、過去1年間では30.48%下落しました。

[執筆者]

ハワード・シルバーブラット

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス

シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。

[免責事項]

著作権(C) 2022年 S&Pグローバルの一部門であるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLC。不許複製、Standard & Poor's、S&P、S&P 500、は、S&Pの一部門であるスタンダード・アンド・プアーズ・フィナンシャル・サービシーズLLC(以下「S&P」)の登録商標です。LATIXX、MEXIC ○TITANS及びSPCIは、S&Pグローバル一部門であるスタンダード・アンド・プアーズ・フィナンシャル・サービシーズLLC(以下「S&P」)の商標です。「ダウ・ジョーンズ」は、ダウ・ジョーンズ・トレードマーク・ホールディングズLLC(以下「ダウ・ジョーンズ」)の登録商標です。商標は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCにライセンス供与されています。本資料の全体または一部の再配布、複製、そして(または)複写を書面による承諾なしに行うことを禁じます。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.