来週の株式相場に向けて=バリュー株の時代“幕開け”か
2022年の日経平均株価は結局、前年比9%安と4年ぶりの下落で幕を閉じた。今年は米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅利上げ、ロシアによるウクライナ軍事侵攻という、年初に想定しなかった事態が次々と襲い掛かってきた。日経平均3万円が期待されただけに、2万6000円にギリギリ乗せて年越しを迎えることは多くの市場関係者にとって想定外だろう。
東京市場は米国に比べ底堅い、とは今年を通じて言われたことだが、ナスダック指数の昨年末比で30%強の下落は別としても、前日時点でのNYダウと日経平均株価との下落率はほぼ同水準となった。年末の日銀の金融政策修正に伴う株安が大きな痛手となった形だが、日銀動向は新総裁選出を含め、新年を通じた大きな焦点となりそうだ。
ただ、23年を通じて相場を大きく左右する最大の要因はやはり米金融政策動向だろう。市場には「年央までに米政策金利はピークアウトし、年後半には利下げ基調入りも」(アナリスト)との期待も強い。米政策金利が5%前後まで引き上げられ、そこから利下げに転じれば大きな痛手を被ったIT関連などグロース株は急反発が見込める。ただ、今回のインフレ懸念は長年の超金融緩和政策と中国を中心とする世界経済の分断が背景にあるともみられ、インフレ懸念の解消は簡単ではない可能性もある。
1989年のベルリンの壁崩壊後の東西融合のディスインフレ時代が30年続いた。しかし、ウクライナ紛争が世界を再び分断する新たな時代の分水嶺になったとすれば、時代は再びインフレへと向かい始めたのかもしれない。それは言い換えれば、グロース株全盛からバリュー株の時代を迎えたとみることもできる。新年の相場は「レーザーテック<6920>vs三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>」でどちらの株のパフォーマンスに軍配が上がるかが焦点となりそうだ。
年末・年始の休みを経て、東京株式市場は1月4日に大発会を迎える。海外は早くも注目スケジュールが満載だ。4日に米12月ISM製造業景況指数が発表され、12月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。5日に米12月ADP雇用統計、6日に米12月雇用統計と同ISM非製造業景況感指数が発表される。来週の日経平均株価の予想レンジは2万5500~2万6500円前後。(岡里英幸)