伊藤智洋が読む「2023年新春相場 マーケット・シナリオ」
2023年の日経平均株価は、弱気パターンの年になるなら2万円以下を目指す
1.2023年のNYダウの動き方の目安
2023年の NYダウは、昨年からの流れを継続するなら、価格が上昇しても昨年1月の高値3万6952ドルを超えられずに上値を抑えられるという見方が有力です。価格が下げるなら、昨年10月の安値2万8660ドルまで下げ余地のある状況だと考えられます。
昨年の米連邦準備制度理事会(FRB)は、活発な消費を抑え、景気を減速させるために金利を引き上げてきたので、その効果が表れてくれば景気後退に伴ってNYダウが下値を試す動きになると考えられます。
図1は、NYダウ日足で、図中の実線が10月頃までの動き方の目安となります。
2023年のNYダウは前述した通り、少なくとも年の前半で下値を試す動きになると考えられます。その場合、下げやすい時期に下げ幅を拡大する公算です。
図1 NYダウ日足と2023年の展開の目安
過去の経験則では、NYダウが弱気パターンの年になる場合、1~3月、5~7月、8~9月に下げ幅を拡大する傾向があります。
2023年の状況と併せて考えるなら、1~3月は価格が下げる場合、昨年からの流れを継続する格好で下値を試す動きになると考えられます。
下値の目安の最大値は、昨年10月の安値2万8660ドル前後になります。
昨年からの反発調を継続して1月に下値堅く推移する場合、3月頃まで下値堅い動きになることも考えられます。
1月に強く上値を抑えられて下降を開始するなら、3月頃までの期間で2万8660ドルまでの下げ余地が出てきます。
3月以降に価格が下げる場合、その下げは今年の景気が後退することによる下げ局面だと考えられます。その場合、5~7月の期間で本年の材料によって下げられる値位置を模索する作業になると考えられます。最初の下値の目安は2万8660ドル前後が考えられますが、5月の値位置次第では2万8660ドルを大きく下回る水準になる公算です。
8月から9月は、翌年度の政策を見越した動きになります。景気後退が一時的なもので終わり、今年後半に緩やかに回復していくのであれば、7月までにつける安値付近が本年の最安値になります。2024年に不安材料があるなら、9月へ向けて下値を掘り下げる展開になると考えられます。
2. 日経平均株価は昨年3月の安値が上昇の始点になっているかが焦点