ADP雇用統計と米新規失業保険申請件数は労働市場の底堅さ示す

市況
2023年1月5日 23時10分

日本時間の22時台に発表になった2つの米雇用指標はともに米労働市場の底堅さ示した。12月のADP雇用統計は23.5万人増と予想(14.9万人増)を上回ったほか、12月最終週の米新規失業保険申請件数も20.4万人と9月下旬以来の低水準となった。

雇用増加は従業員500人以下の中小企業に集中し、大企業は逆に15万1000人を削減し、2020年4月以降で最多となっている。レジャー接客業、教育医療サービス、専門ビジネスサービス、建設業が雇用増を牽引した。発表元のADPは「労働市場は堅調だが断片的で、業種や事業所規模によって雇用が大きく異なる」と述べていた。

昨年前半に積極的に採用した事業部門が昨年最後の月に採用を減速させ、場合によっては雇用を削減した。今回の数字は、労働市場が特定の分野では冷え込んでいるものの、依然として堅調であることを示唆しているという。

景気後退の懸念があるにもかかわらず、労働需要は供給を遥かに上回り、賃金も上昇圧力が続き、消費者は消費余力がある。また、解雇率も極めて低く、求人倍率も上昇。

明日は12月の米雇用統計が発表されるが、非農業部門雇用者数(NFP)は20万人増、民間部門雇用者数は18.3万人増が見込まれている。失業率も3.7%と歴史的な低水準に留まるとみられている。

インフレはピークの兆候も見せ始めているが、労働市場が底堅い場合、インフレが思ったほど鈍化せずに、FRBの引き締め政策も長期化の可能性が高まる。FRBは否定しているが、市場は早ければ今年中にもFRBは利下げに移行するとの観測が出ている。それは雇用情勢次第といった面も大きそうだが、少なくとも今回の数字からは、市場の期待は正当化されそうにはないようだ。

ADP雇用者数(12月)22:15

結果 23.5万人

予想 14.9万人 前回 18.2万人(12.7万人から修正)(前月比)

新規失業保険申請件数(12/25-12/31)22:30

結果 20.4万件

予想 22.5万件 前回 22.3万件(22.5万件から修正)(前週比)

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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