来週の株式相場に向けて=日銀を巡る思惑に一喜一憂の1年に
2023年相場が始まった。4日の大発会は日経平均株価が300円を超える下落となり2万6000円割れでスタートしたが、その後は続伸し値を戻している。
22年はロシアによるウクライナ軍事侵攻があったものの、市場関係者にとっては米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の行方を探ることに明け暮れた1年だった。今年も米金融政策が重要ポイントであることに変わりはない。
ただ、昨年12月20日の日銀金融政策決定会合での政策修正で、日銀要因が一気に前面に押し出された。黒田日銀総裁の任期満了が4月に予定されているだけに、日銀の金融政策が注目を浴びるのは予想されていたが、「想定より前倒しの状況」(アナリスト)となっている。今月17~18日の日銀決定会合では大きな変更はないとみられるが、投機的な売買は活発化しそうだ。また、日銀総裁人事は1月中にも明らかになるとみられている。現時点では、雨宮正佳副総裁と中曽宏前副総裁、それに「第三の候補」として山口広秀元副総裁の名前が挙がっている。
3人ともに副総裁経験者という点では共通しており、そのなかでも山口氏は白川前日銀総裁の下での副総裁だったことから、ややタカ派的とみる声も出ているようだ。ただ、雨宮氏や中曽氏も黒田氏が日銀総裁に就任する以前から日銀の高官を務めており、3名ともにリフレ派とは一線を画しているとの見方もある。
岸田首相は、防衛力増強の財源として増税を視野に入れる姿勢を示している。アベノミクス路線からの転換が見て取れるなか、日銀総裁人事はどう進むのか。それに対して、海外投資家など市場はどう反応するのか。年初から息もつけない展開が続きそうだ。
まずは今晩の米12月雇用統計の結果が注視されるが、来週のスケジュールをみると12日に米12月消費者物価指数が発表される。13日には米1月ミシガン大学消費者マインド指数が予定されている。12日に台湾積体電路製造(TSMC)ADR<TSM>、13日にはJPモルガン<JPM>やバンカメ<BAC>などの決算が予定されており、米国は本格的な決算シーズンに入る。
国内では、9日は成人の日の祝日で休場。10日には12月東京都区部消費者物価が発表される。また、10日には安川電機<6506>の決算発表が予定されている。更に同日にはキユーピー<2809>やローソン<2651>、11日にエービーシー・マート<2670>やビックカメラ<3048>、12日にセブン&アイ・ホールディングス<3382>や東宝<9602>、13日にイオン<8267>や吉野家ホールディングス<9861>などの決算発表が予定されている。来週の日経平均株価の予想レンジは2万5700~2万6300円前後。(岡里英幸)