米国株式市場見通し:銀行決算やCPIに注目
企業決算シーズンが始まり、結果に注目だ。高インフレや景気減速が響く形で需要が弱まり、業績低迷が警戒されており、下落要因になる可能性には警戒しておきたい。百貨店のメーシーズは年次の企業・投資家会合を控える中、年末年始の売り上げが予想に比べて弱く、第4四半期の売上が従来の見通しレンジの中間から下限域に達すると警告している。金利ピークアウト観測が浮上し買い材料となる一方、年内の景気後退懸念は売り材料と考えられ、株式市場の上昇は限定的になりそうだ。
また、FRBがインフレ指標として特に動向を注視している12月消費者物価指数(CPI)が12日に発表予定で、注目材料となる。原油価格や賃貸料などの上昇が落ち着き、CPIの伸びも鈍化傾向にある。FRBが特に注視している変動の激しい食品や燃料を除いたコア指数は前年比5.7%増と、21年12月以来の低い伸びへと鈍化することが予想されている。12月雇用統計では、失業率が依然として歴史的に低い水準にあるものの、1カ月の雇用の伸びはパンデミック前の基調に戻った。FRBが警戒している賃金の伸びも鈍化しつつある。他方、コアCPIは依然インフレ目標である2%には程遠い。また、FRB高官は年初のインタビューにおいて、インフレが依然高過ぎで十分な金融引き締め領域には達しておらず、今年も利上げが必要であるとの見解を繰り返した。特にミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は年内、政策金利を5.4%にまで引き上げるべきと主張している。あと、100ベーシスポイントの利上げが実施されることを想定すると、新年度相場入りに伴う新規投資に期待も、全体としてはやはり上昇しづらいだろう。
ほか、9日にはパウエルFRB議長がスウェーデン国立銀行主催の国際シンポジウムで講演を予定しており、注目だ。雇用統計での賃金の伸び鈍化を受けてタカ派姿勢を緩和するかどうかが焦点となる。万が一、ハト派発言が見られれば、相場を支えることになるだろう。
経済指標では、11月卸売売上高(10日)、12月消費者物価指数(CPI)、週次新規失業保険申請件数(12日)、12月輸入物価指数、1月ミシガン大消費者信頼感指数速報値(13日)、などが発表予定となっている。
主要企業決算では、銀行や金融でバンク・オブ・アメリカ、シティグループ、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、投資会社のブラックロック(13日)に加え、スーパーマーケットチェーンを運営するアルバートソン(10日)、住宅建設会社のKBホーム(11日)、航空会社のデルタや管理医療会社のユナイテッドヘルス(13日)、などが予定されている。
銀行決算では相場の変動率が高かったため、好調なトレーディング収益が業績を支援したと推察される。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》