為替週間見通し:ドルは弱含みか、米インフレピークの思惑強まる
【今週の概況】
■日銀金融緩和の修正観測でリスク回避の円買い強まる
今週のドル・円は軟調推移。「日本銀行は1月開催の金融政策決定会合で大規模な金融緩和策に伴う副作用を点検する」との一部報道をきっかけに、金融緩和策のさらなる修正が警戒されたことから、リスク回避のドル売り・円買いが活発となった。週初に131円台前半まで下げたが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が1月10日に開かれたスウェーデン中央銀行主催のシンポジウムで、「物価安定への過程は不評となる可能性もある」と述べるなど、利上げ継続を示唆したことからドル買いが優勢となった。11日に132円87銭までドル高・円安に振れたが、12日発表の12月米消費者物価指数は前月比マイナスとなったことから、利上げペースのさらなる減速を想定してドル売りが拡大した。
13日のニューヨーク外為市場でドル・円は、昨年5月以来となる127円46銭まで下落した。この日発表された米1月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値の1年期待インフレ率は予想以上に低下したこと、イエレン米財務長官が「米国債務は今月19日にも上限に達する」と警告したことから、リスク回避のドル売り・円買いが一段と拡大。ドル・円は127円88銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:127円46銭-132円87銭。
【来週の見通し】
■ドルは弱含みか、米インフレピークの思惑強まる
来週のドル・円は弱含みか。日本銀行による大規模金融緩和策修正の思惑は残されており、リスク回避的な円買い圧力が強まりやすい。一方、米経済指標の低調な内容から米国経済の先行き不透明感が広がり、一段の金融引き締めを想定したドル買いは後退しそうだ。報道によると、日銀は1月17-18日開催の金融政策決定会合で2022-2024年度の物価見通しを上方修正する方向のようだ。今春の新体制発足に向け、日銀は昨年末の長期金利の許容変動幅の拡大に続き、金融緩和路線の転換を進める可能性がある。
一方、連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ対応のため、利上げを継続する方針。年明けに公表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨のほか、複数の金融当局者は利上げ継続が妥当との見解をこれまで協調している。ただ、直近の雇用統計で平均時給は伸びが大幅に鈍化し、賃金インフレのピークアウトは鮮明に。また、12日に発表された米消費者物価(CPI)はコア指数も含め、上昇率は鈍化しており、米インフレピーク越えによる金利安・ドル安が見込まれる。
【日本銀行金融政策決定会合】(17-18日開催)
日銀は17-18日、金融政策決定会合を開催し、現行の緩和的な金融政策を決定する公算。展望レポートでは2022-24年の物価見通しについて上方修正するとみられ、今後の緩和修正をにらんだ円買い圧力が強まり、ドルを下押しする可能性がある。
【米・12月小売売上高】(18日発表予定)
18日発表の米12月小売売上高は前月比-0.8%と、11月実績からに悪化する見通し。インフレ高進が消費を圧迫する構図が鮮明になれば成長は大きく後退するとみられ、今後の金融引き締め鈍化観測につながる。
予想レンジ:125円00銭-130円00銭
《FA》