米国株式市場見通し:PPIや小売売上高に注目

市況
2023年1月14日 14時05分

投資家は相場に対して慎重ながらも楽観的になりつつあり、底入れ感が強まりそうだ。FRBの利上げ停止が一段と近づき、金利ピークアウト期待が強まったこと、経済が警戒された程には悪化せず、ソフトランディングが可能との見方が背景にある。さらに、主要企業の決算内容もすでに最悪の結果が織り込み済みで、むしろ、それほど悪くないとの見方も浮上し始めた。決算発表が本格化していく中、今後は利益率や見通しに引き続き焦点を当てたい。一方、イエレン財務長官は米国債務が19日にも上限に達すると警告しており、債務問題がリスクになりそうだ。

また、来週はCPIに続き、重要なインフレ指標である12月卸売物価指数(PPI)のほか、重要経済指標の12月小売売上高にも注目したい。変動の激しい食品やエネルギーを除いたコアPPIは前年比で5.4%増と、9カ月連続での伸び鈍化、昨年5月以来の低水準に改善することが予想されている。CPIに続いて、PPIでもインフレピークアウトが確認されれば、長期金利の低下に繋がり、相場にとりプラス材料となろう。一方、12月小売売上高は11月に続いて2カ月連続のマイナスが予想されている。どちらの結果も予想通りとなると、FRBの利上げ減速の思惑をさらに強めると思われ、利上げ長期化懸念を背景とした売りは一段と後退するだろう。FRBはまた、ベージュブック(地区連銀景況報告)を公表する予定。結果は今月末から2月1日にかけて開催されるFOMCで金融政策を決定する上での一部材料となる。各地区で、物価圧力の後退や消費鈍化などのコメントが見られれば、12月会合での0.25ポイント利上げへの減速予想がさらに強まり、相場の上昇を支援しよう。なお、16日はキング牧師記念日で休場となる。

経済指標では、1月二ューヨーク連銀製造業景気指数(17日)、12月小売売上高、12月PPI、12月鉱工業生産、設備稼働率、11月企業在庫、NAHB住宅市場指数、11月対米証券投資(18日)、12月住宅着工件数・建設許可件数、1月フィラデルフィア連銀景況指数、週次新規失業保険申請件数(19日)、12月中古住宅販売(20日)、などが発表予定となっている。また、FRBは18日にベージュブックを公表する。

ほか、16日から20日にかけて、世界経済年次フォーラムがスイスのダボスで開催される。19か国の中銀総裁、56カ国の財務相の参加が予定されている。世界経済や金融政策を巡る要人発言に注目だ。

主要企業決算では、金融でゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー(17日)、PNCファイナンシャルサービス(18日)、ステートストリート(20日)、航空会社ではユナイテッド(17日)やアメリカン(20日)、そのほか、動画配信のネットフリックス、消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル(19日)、などが予定されている。航空会社の決算では高インフレにもかかわらず、引き続き強い需要で良好な見通しが期待できそうだ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

提供:フィスコ

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