佐藤正和氏【日経平均再び下値模索へ、日銀絡みでどう動く】(2) <相場観特集>
―円高進行受けリスクオフ、為替と株両にらみの展開に―
週明け16日の東京株式市場では、日経平均株価が続落しフシ目の2万6000円台を割り込んできた。米国株市場はインフレ警戒感の後退を背景に強調展開を続けているものの、日本はなかなかこれに追随できない状況にある。外国為替市場で一段と円が買われ、一時1ドル=127円台前半まで円高が進行したことで買い手控え感が強い。今週18日の日銀金融政策決定会合の結果待ちだが、足もと荒れ模様の日本株はここからどこへ向かうのか。そして、投資家の視線が集中する為替の動向は。今回は、株式市場の見通しと為替市場の見通しについて、それぞれ業界第一線で活躍する市場関係者に話を聞いた。
●「日銀の金融政策変更を意識した円高基調は続く」
佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)
足もとで為替相場は円高基調にあるが、この流れは続くとみている。
まず、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策は1月31日~2月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げ、3月のFOMCでも0.25%の利上げを行い、当面はそれで打ち止めとなる可能性があるとみている。今後のデータ次第だが、米国のインフレ懸念は徐々に後退していくことも予想される。
一方、高い関心を呼んでいるのが日銀の金融政策の行方だ。日銀の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を含めて、金融政策の修正が昨年12月に続いてあるかが注目される。ただ、17~18日に開催される1月会合での日銀の政策修正はないとみている。YCCの見直しなどは、黒田東彦日銀総裁が4月に退任した後の新総裁の仕事になるのではないか。もっとも、日銀が1月会合で金融政策を維持した場合、政策修正を催促する円高や金利上昇といった動きが活発化する可能性はある。
こうしたなか、今後1ヵ月程度のドル円相場は1ドル=125~135円前後を予想する。相場の基調は円高だろう。先行き123円への円高もあり得るが、それはもう少し先かもしれない。
黒田総裁の後任には、雨宮正佳副総裁と中曽宏前副総裁などの名前が候補に挙げられている。次期日銀総裁は金融政策の修正に取り組むことになるとみられるだけに、予想外の人事でなければ、次期日銀総裁の人選が相場に与える影響は限定的だとみている。もし、先行きYCCを撤廃するといった政策変更が行われれば、急激な円高といったことは起こり得るだろう。今後の日本の金融政策をみるうえでは20日発表の12月全国消費者物価指数(CPI)も注目されそうだ。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。
株探ニュース