話題株ピックアップ【夕刊】(1):インパクト、出前館、信越化
■インパクト <6067> 4,495円 +350 円 (+8.4%) 本日終値
インパクトホールディングス<6067>は大幅高。26日の取引終了後、米ベインキャピタル系のファンドと組んでMBOを実施すると発表した。同ファンドがインパクトに対して1株4500円でTOBを行うことから、この価格にサヤ寄せする格好となっている。買い付け予定数は605万3385株(下限358万9100株、上限設定なし)で、買い付け期間は1月27日から3月10日まで。TOB成立後に同社株は上場廃止となる見込みで、これを受けて東京証券取引所は26日付で監理銘柄(確認中)に指定している。あわせて22年12月期見通しの下方修正を発表したほか、インドでのコンビニエンスストア事業からの撤退や、双日<2768>との資本・業務提携の解消などを明らかにした。
■ローランド <7944> 3,890円 +300 円 (+8.4%) 本日終値 東証プライム 上昇率2位
ローランド<7944>が急伸。26日の取引終了後、集計中の22年12月期連結業績について、営業利益が従来予想の124億円から107億円へ、最終利益が98億円から85億円へそれぞれ下振れて着地したようだと発表したが、下振れは織り込み済みとの見方が強く、アク抜け感から買われたようだ。為替影響を除く実質売り上げは若干想定を下回る見込みであるものの、受注残出荷の加速や、北米など好調な地域でのカバーに努めた効果で、売上高は924億円から958億円へ上振れて着地した。ただ、需要の変化に対応して値上げの一部を見合わせたことや、為替影響を除く実質的な売り上げが想定を若干下回ったこと、米ドラム・ワークショップ社買収に係る一時費用を計上したことなどが利益を圧迫した。なお、会計基準の変更に伴い前の期との単純比較はできないものの、会社側の参考値によると21.0%増収、5.5%営業増益、1.0%最終減益となるもようだ。
■出前館 <2484> 446円 +22 円 (+5.2%) 本日終値
出前館<2484>は反発。午前10時ごろ、次世代ドローンの研究開発型スタートアップであるエアロネクスト(東京都渋谷区)とドローンを活用した新しい商品流通の仕組みの構築に向けて業務提携したと発表しており、好材料視された。両社は、人やモノの移動に関するさまざまな課題を抱える地域社会の課題解決に向けて横須賀市や敦賀市でドローン配送実証実験をしているが、今回の業務提携により出前館の展開エリアの拡大を図るとともに、エアロネクストのドローン配送の確立及びドローンを活用した新スマート物流の普及を目指すという。また提携を皮切りに、新スマート物流の導入を予定している自治体において、出前館アプリと連携した空輸と陸送のハイブリッドによるデリバリーサービスの地域導入を共同で推進するとしている。
■信越化学工業 <4063> 18,305円 +720 円 (+4.1%) 本日終値
信越化学工業<4063>が5連騰。26日の取引終了後、23年3月期の連結業績予想について、売上高を2兆7000億円から2兆7800万円(前期比34.0%増)へ、営業利益を9400億円から9950億円(同47.1%増)へ、純利益を6800億円から7080億円(同41.6%増)へ上方修正し、あわせて期末配当予想を225円から275円へ引き上げたことが好感された。主力の塩化ビニールは22年末に市況は概ね底打ちしたとみており、生活環境基盤材料事業が好調に推移していることが寄与する。また、半導体市場は昨秋以降調整局面に入ったものの、シリコンウエハー、フォトレジスト、マスクブランクスなどの半導体材料をほぼ計画通りに出荷しており、電子材料事業の堅調も貢献する見通しだ。なお、年間配当予想は500円(前期400円)としている。第3四半期累計(22年4~12月)決算は、売上高2兆1632億円(前年同期比45.8%増)、営業利益8082億2700万円(同68.3%増)、純利益5785億1900万円(同63.8%増)だった。同時に、3月31日を基準日として1株を5株に株式分割するほか、上限を34万株(発行済み株数の0.08%)、または70億円とする自社株買いを実施するとあわせて発表しており、これらも好材料視された。自社株の取得期間は1月27日から3月31日までで、ストックオプションの行使に充当するためとしている。
■北海道電力 <9509> 468円 +13 円 (+2.9%) 本日終値
北海道電力<9509>が高い。26日の取引終了後に23年3月期業績予想の修正を発表し、最終損益を710億円の赤字から530億円の赤字(前期68億6400万円の黒字)に見直した。赤字幅が縮小する見通しとなったことで業績に対する過度な警戒感が後退し、買い安心感が広がっている。燃料価格や卸電力市場価格が想定より低下することによる費用減や、核燃料売却益の計上が要因。卸電力市場価格の低下に伴って他社販売収入が減少することから、売上高については9700億円から9210億円(前期比38.8%増)へ引き下げた。従来未定としていた期末配当予想は無配とした。これにより年間配当も無配(前期20円)となる。あわせて、規制料金の値上げを6月1日から実施するため、経済産業大臣に対して特定小売供給約款の変更認可申請をこの日に行ったと発表した。規制料金とあわせ、低圧自由料金についても同日から値上げするという。
■三菱UFJ <8306> 978円 +26 円 (+2.7%) 本日終値
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などメガバンクや第一生命ホールディングス<8750>など大手生保株が買い優勢の展開で始まった。ここ米長期金利はFRBによる利上げ打ち止めに向けた思惑から3%台前半での低調な推移が続いているが、前日は米10年債利回りが3日ぶりに上昇に転じ終値ベースで3.495%まで上昇した。これを受けて米国株市場では、ゴールドマン・サックス<GS>やJPモルガン<JPM>など大手金融株が総じて買われており、東京市場でもこの流れに追随する形となっている。国内でも日銀の政策修正に対する思惑から長期金利が再び上昇傾向にあり、前日は10年債利回りが取引終了時点で0.460%まで上昇、今月行われた日銀の金融政策決定会合後の最高を更新している。銀行や生保にとっては運用環境の改善が期待され、株価にプラス材料となっている。
■東邦ガス <9533> 2,426円 +60 円 (+2.5%) 本日終値
東邦ガス<9533>が後場一段高。午前11時40分ごろ、23年3月期の連結業績予想について、営業利益を190億円から250億円(前期比40.0%増)へ、純利益を160億円から210億円(同35.8%増)へ上方修正したことが好感された。売上高は6800億円(同32.0%増)の従来見通しを据え置いたものの、足もとの状況を踏まえて原油価格の前提を見直したことに伴う原料価格の値下がりを織り込んだ。同時に発表した第3四半期累計(22年4~12月)決算は、売上高4860億1600万円(前年同期比44.6%増)、営業利益212億700万円(同7.5倍)、純利益172億4000万円(同4.4倍)だった。ガス販売量の減少や電気事業の調達費上昇による収益悪化があったものの、電気販売量の増加や前年の期ずれ差損の反動などがあり、大幅な増益となった。
■JFEシステムズ <4832> 2,520円 +55 円 (+2.2%) 本日終値
JFEシステムズ<4832>が8日続伸。26日の取引終了後、23年3月期の連結業績予想について、営業利益を56億7000万円から60億7000万円(前期比8.2%増)へ、純利益を37億4000万円から41億円(同10.1%増)へ上方修正し、あわせて期末配当予想を45円から50円へ引き上げたことが好感された。売上高は550億円(同9.1%増)の従来見通しを据え置いたものの、第3四半期において開発生産性の向上並びに経費支出の抑制がみられたことが利益を押し上げる。なお、年間配当は90円(前期75円)となる予定だ。同時に発表した第3四半期累計(22年4~12月)決算は、売上高411億6100万円(前年同期比10.8%増)、営業利益45億7700万円(同9.9%増)、純利益30億5900万円(同10.1%増)だった。製鉄所システムリフレッシュの本格化に伴う鉄鋼部門の売り上げ増などが業績を牽引した。
■スズキ <7269> 4,839円 +63 円 (+1.3%) 本日終値
スズキ<7269>が6日続伸。26日の取引終了後、「2030年度に向けた成長戦略」を発表しており、31年3月期に連結売上高7兆円(22年3月期3兆5683億円)を目指すとしたことが評価されている。四輪車で国内向けとして23年度に軽商用バッテリーEVの投入を行い、これを皮切りに小型SUV・軽乗用などの投入を予定しており、30年度までに6モデルを展開するという。また、欧州では24年度からバッテリーEVを投入し、SUV・Bセグメントなどに広げていき、30年度までに5モデルを展開。更にインドでは、「AutoExpo2023」で発表したバッテリーEVを2024年度に投入し、30年度までに6モデルを展開するという。このほか、バッテリーEVだけではなく、ハイブリッド車・CNG・バイオガス・エタノール配合の燃料などを使用したカーボンニュートラルな内燃機関車も継続的に投入するとしている。
■日本製鉄 <5401> 2,757円 +35.5 円 (+1.3%) 本日終値
日本製鉄<5401>やJFEホールディングス<5411>といった鉄鋼株が高い。中国の経済再開に伴う鉄鋼需要の増加に対する期待が膨らむなか、日本製鉄の場合で株価は今期予想連結PERで3倍台と割安感が強い鉄鋼株に対する見直し機運が強まっている。特に、米国で26日に発表されたニューコア<NUE>の決算が市場予想を上回り、同社株のほかユナイテッドステイツスチール<X>など米鉄鋼株が値を上げたことも追い風となっている。
株探ニュース