低金利時代のプレイブックを復活させている投機的銘柄の急騰=米国株
パンデミック時代の投機的銘柄の急騰についてウォールストリート・ジャーナル(WSJ)がコラムで伝えている。
カーバナ<CVNA>やコインベース・グローバル<COIN>、ペロトン・インタラクティブ<PTON>といった、パンデミック時代の寵児たちが株式市場のリーダーボードに返り咲き、いずれも年初から2倍超上昇している。
昨年に投資家がこれらの企業や他の投機的銘柄の株を投げ捨てた後、トレーダーは市場の最もリスクの高いコーナーに再び集まってきている。彼らは、FRBのインフレ抑制策がほぼ終了し、早ければ今年後半にも利下げに踏み切ることに賭けているのだという。
投機的な銘柄は、多くが何年も先まで利益を上げられないと予想されており、金利動向に最も敏感な企業の1つと位置づけられている。金利が高ければ、投資家は利回りを得るための選択肢が増え、将来の利益を待つ忍耐力が弱くなる。低金利はその逆。
低金利環境と投機的なIT・ハイテクは相性が良い。先週金曜日の衝撃的な米雇用統計の発表でさえ、株価の勢いはさほど衰えなかった。S&P500は先週1.6%上昇し、年初来の上昇率を7.7%に伸ばしている。ナスダックはさらに上昇が加速しており、今年に入って15%近くも上昇している。
懐疑的な人々からは、2001年が教訓として指摘されている。この年の1月にナスダックは12%上昇したが、ITバブルが崩壊すると、その後の11カ月で30%急落した。また、FRBが引き締めを終える前に株価が底を打つことは歴史的にはないと指摘する人もいる。
リスク資産への高揚感がFRBの懸念材料であるとすれば、パウエル議長は先週のFOMC後の会見で、それをほとんど鎮めることができなかった。今月はずっと株式市場が上昇しており、FOMC委員がそれを抑制する機会はあったはずだが、それをしなかったという。
パウエル議長はディスインフレの兆候を捉えていることは認めたが、今年中に利下げを行うとは考えていないことを改めて強調していたた。しかし、市場はFRBの意向に反して、まだ年末までに1回以上の利下げが行われる確率を89%まで高めており、FRBの意図ではない方向に賭けている。
昨年の急落後、株式市場は12カ月前よりは割安に見える。S&P500は今後12カ月間の予想1株利益の約18.5倍で取引されており、これは昨年初めの約21.5倍から低下し、5年平均の18.7倍とほぼ同水準にある。
もちろん、最近のリバウンドをリードしている投機的企業の多くは、利益を上げていないことから、従来の評価シートでは評価できない。しかし、例えばテスラ<TSLA>は、今後12カ月先の予想1株利益の約45倍と、依然として高値で取引されている。
米大手証券は最もリスクが高く高騰している銘柄への投資に注意を促している。「投機的銘柄に手を出さなくても、長期保有が可能な優れた成長見通しを持つ質の高い銘柄を見つけることは可能だ」と語っている。
3日終値
ダウ平均 33926.01(-127.93 -0.38%)
S&P500 4136.48(-43.28 -1.04%)
ナスダック 12006.96(-193.86 -1.59%)
CME日経平均先物 27635(大証終比:-45 -0.16%)
カーバナ<CVNA> 14.45(+0.20 +1.40%)
コインベース・グローバル<COIN> 74.63(-6.83 -8.38%)
ペロトン・インタラクティブ<PTON> 16.28(-0.70 -4.12%)
テスラ<TSLA> 189.98(+1.71 +0.91%)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美