FRBハト派化期待は徐々に剥落/後場の投資戦略

市況
2023年2月9日 12時18分

日経平均 : 27479.86 (-126.60)

TOPIX  : 1980.07 (-3.90)

[後場の投資戦略]

一昨日の米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁に続き、前日もFRB高官からタカ派発言が相次いだ。FRBのウォラー理事は「インフレとの戦いは長引きそうで、政策金利は現在の一部の予想よりも一層高い水準に一段と長くとどまる可能性がある」との見解を示した。また、クックFRB理事も「利上げはまだ終わっていない。政策金利を十分に景気抑制的な水準に維持する必要がある」と発言。

特に印象的だったのは米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言で、同氏は「インフレを確実に2%に回帰させるためには、十分に景気抑制的な政策スタンスを数年間維持する必要があるだろう」とコメント。その上で、現在の政策金利の誘導目標レンジ4.50-4.75%については、「かろうじて景気抑制的な」領域に入っているに過ぎないとの考えを示した。これは、あと1-2回の利上げで打ち止めになると考えている市場に対して、暗にその予想を超える利上げ継続があり得ることを示唆していると捉えられる。

一方、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)は5.13%と、複数の高官のタカ派発言前の時点からほぼ変わっていない。また、今年末の政策金利水準の予想も4.80%とこちらにも変化はない。先週まで0.25ポイントの利下げが2回あると予想していた状況に比べれば、現在の利下げ期待は1回程度にとどまっており、過度な期待は後退してきているもよう。しかし、いまだに年内利下げ期待は残っている。

米株式市場も前日は反落となったものの、年始からの上昇基調を踏まえれば、小幅な調整に過ぎない。しかし、今後、年内の残りの利上げ回数が3回以上になることなどを本気で織り込みにいく展開になれば、株式市場には調整余地が残されているといえる。来週14日に発表される米1月消費者物価指数(CPI)でインフレ鈍化の一服などが示唆されると、そうした動きが強まる恐れがあろう。

S&P500種株価指数の予想株価収益率(PER)も19.4倍と、昨年4月以来の水準にまで上昇してきており、業績予想が切り下がってきている中、これ以上の株価バリュエーションの上昇を通じた株高には持続性に疑問符が付こう。目先は、調整局面入りになる可能性に留意しておきたい。(仲村幸浩)

《AK》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.