今晩の米小売り決算に注目、円安の下支え余地は小さいか/後場の投資戦略

市況
2023年2月21日 12時15分

日経平均 : 27519.50 (-12.44)

TOPIX  : 2001.13 (+1.42)

[後場の投資戦略]

前日の米国市場はワシントン誕生記念日のため休場。手掛かり材料難の中、週末には次期日本銀行総裁候補である植田和男氏の所信聴取や米1月個人消費支出(PCE)コアデフレーターが予定されていることもあり、本日も相場は膠着感の強い展開となっている。

一方、今晩の米国市場では小売り企業のウォルマートやホーム・デポの決算が予定されており、こちらも注目される。根強いインフレの要因にもなっている米個人消費の堅調さを背景に、ウォルマートはしっかりとした決算が予想される。節約志向の高まりで購買対象が生活必需品へ集中するなか、粗利益率の停滞は続きそうだが、在庫調整の進展などが確認されれば好感されそうだ。

他方、格付け機関のムーディーズによる調査が注目されている。同社によると、クレジットスコアが低い債務者に提供された自動車ローンの30日以上延滞率が2010年以来の水準に上昇しているという。急速な金融引き締めにより、信用力が低い層への消費者信用に悪影響が及び始めたことを表していると、警告シグナルと捉える声も少なくない。

先日の市場予想を大幅に上回った米1月小売売上高の結果を、季節性など複数の要因が重なった結果として捉える向きも多い中、今晩の米小売り決算で消費動向の堅調さが本物かどうかを見極めたい。仮に悪い内容となれば、深刻な景気後退は避けられるとの年始からの楽観論は修正を迫られそうだ。また、反対に強い結果となると、インフレ懸念はさらに強まり、週末の米PCEコアデフレーターへの警戒感が上値抑制要因として働くことが予想される。

ほか、日経平均や東証株価指数(TOPIX)の下値を支えている為替の円安については、週末のイベントを控える中、1ドル=135円の節目を手前に一服となっている。米商品先物取引委員会(CFTC)が公表している投機筋の円ポジションをみても、直近のデータではネットでほぼ中立水準近くまで円の買い戻しが進んでおり、海外勢による金融緩和の修正および円高への思惑は根強いと思われる。米国のインフレ懸念の根強さ、利上げ長期化観測の高まりからドルの底堅さが見られているが、現水準からの一段の円安進行余地は大きくないと考える。

外部環境の不透明感がくすぶる中、当面は3月期末の配当権利取りを狙ったバリュー(割安)株、高配当利回り株の相対優位性が続きそうだ。(仲村幸浩)

《AK》

提供:フィスコ

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