明日の株式相場に向けて=潮目が変わった相場は逆に好機となる

市況
2023年2月22日 17時00分

きょう(22日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比368円安の2万7104円と大幅続落。ここ2万7000円台後半でのもみ合いが続いていたが、日足一目均衡表では雲を上に抜けた後の踊り場形成であったことや、直近で25日・75日移動平均線のゴールデンクロスを示現するなど、テクニカル的には満を持して2万8000円台から上のステージへ水準を切り上げて不思議のないタイミングではあった。

しかし、前日にも触れたように米国株市場の動向次第で針路が決められてしまうのは仕方のないところ。現状はワールドワイドなインフレ圧力をどうクリアするのか、FRBの手綱さばきに世界の視線が集中しているのは紛れもない事実だ。そうしたなか、米株が再び急な下り坂に入ったことで、東京市場もそれに追随する展開を余儀なくされている。日経平均は前日まで9営業日連続で日々上昇と下降を繰り返してきたわけだが、きょうはそのリズムが崩れると同時に派手に蹴躓(けつまず)く格好となった。

米国の経済環境自体に短期間で大きな変化が生じているわけではない。順番に出てくる経済指標が示す数値の強弱によって投資家は一喜一憂するが、実際は同じレールの上を走っているに過ぎない。前日は欧州時間から警戒ムードが漂っていた。日本時間夕方に発表された2月のユーロ圏総合PMIが9カ月ぶりの高水準となったことでECBの金融引き締め策への警戒感が募り、ドイツやフランスなど主要国の株価指数が軒並み下落した。更にそこから6時間弱経過して発表された2月の米PMIも8カ月ぶりに好不況の分水嶺である50を上回った。FRBの政策金利引き上げが長期化し、ターミナルレートが引き上がることへの懸念が買いを手控えさせたわけだが、果たしてそれほど激震を与えるネガティブ材料だったかは疑問がある。

ただ、弱気筋に与する意図は全くないが、目先は潮の目が変わった印象も拭えない。米国で警戒すべき材料としては個人消費の低迷であり、それも崖から落ちるような急速な冷え込みもゼロではないということが指摘されている。市場筋によると「カードローンの返済苦が取り沙汰されているが、自動車ローンも9%の割合、つまり10人に1人の割合で延滞が発生している。また信用度の低いディープサブプライム層の比率が2007年以来の状況まで悪化している。これは、いわゆるリーマン・ショックへのカウントダウンが始まったタイミングと一致する」(ネット証券アナリスト)という。

リーマン・ショックはサブプライム住宅ローンで、しかもそれが仕組み債に組み込まれ、証券化されたことで世界的な金融危機を引き起こした。今回はそうした金融システムに打撃を与えるようなインパクトはなさそうだが、たかが自動車ローンと高を括ることもできない。某市場関係者は「インフレの波が収まらないなかで個人の消費意欲がフリーズするようなことがあれば、スタグフレーションに直結する可能性も高い」(国内投資顧問系エコノミスト)と警鐘を鳴らす。

こうした警鐘は全体相場が上昇しているさなかは聞こえてこないが、下落基調に転じると音量・ボリュームが大きくなる傾向がある。きょうは日中の米株価指数先物の動きはダウ平均、ナスダック100、S&P500ともに比較的堅調で、それを横目に日経平均も前場に一時400円超の下落をみせた後は下げ渋る動きをみせた。2万7000円トビ台まで売り込まれた後はバランスを立て直したが、それでも2万7100円台まで戻すのが精いっぱいであった。別の市場関係者からは「日経平均2万7000円台後半は、空売り筋は既に踏まされた後で、一方で実需のヤレヤレ売りのニーズが強かった。結果的に2万8000円台には届かなかったことで、下値を試す形となりそうだ。日柄的には彼岸底を目指す動きとなる可能性もある」(準大手証券ストラテジスト)とする声が聞かれた。ただ、言い方を変えればここからは買い場を探すタームに入る。個別株は低PBR銘柄の見直し買いなど分かりやすい流れが形成されており、相場の状況に応じて機動的に対応していけば、むしろ買い方としてはエントリーしやすくなる。

あすのスケジュールでは、天皇誕生日の祝日に伴い東京市場は休場。海外では韓国中銀の金融通貨委員会の結果公表、22年10~12月期米実質GDP改定値、週間の米新規失業保険申請件数など。また、米国ではボスティック・アトランタ連銀総裁が討論会に参加。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2023年02月22日 17時12分

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