米国株式市場見通し:主要小売企業決算に注目
来週は、主要小売企業決算に注目だ。すでに発表済みの同セクターの決算では、需要鈍化で見通し下方修正が相次いだため警戒が必要だ。また、経済やインフレ、金利を巡っては依然不透明で、来週発表が予定されている経済指標の結果を受けた金利動向に神経質な展開が続きそうだ。。投資家の恐怖心理を示すVIX指数も再び20を上回っている。
小売企業の第4四半期決算の結果は冴えず、各社軒並み悲観的な見通しを示している一方、1月の小売売上高、消費関連指標は想定外に強い。1月の雇用統計や小売売上高は予想以上に強い結果となったことに続いて、2月のサービス業PMIは予想外に昨年6月以来となる活動拡大域である50台を回復した。1月の小売売上高の強い結果は暖冬や大規模なプロモーションが影響したと指摘されているが、2月の経済指標も強い結果となると、FRBはより長期にわたり高い水準まで利上げを継続することが必要になるため、相場の上値を抑制するだろう。
消費動向を確認するうえで注目されるISM非製造業(サービス業)景況指数の2月分は活動の拡大ペースが1月に比べて鈍化する見込み。一方、コンファレンスボードが発表する2月の消費者信頼感指数は1月から上昇が予想されており、想定通りとなると、本年のリセッション入りの思惑がさらに後退することになるだろう。短期金融市場もFRBの見通しに沿う形で、政策金利が5%超に達し、年内いっぱい5%台で推移することを織り込んだ。金利先高観に加え、ドル安も後退しつつあり、相場の逆風になりそうだ。S&P500種株価指数はテクニカル的に重要な節目である200日移動平均線を保てれば底堅い展開になりそうだ。しかし、万が一、下回った場合、中期的な下落基調が再燃するだろう。
来週はまた、金融のゴールドマンサックスと、石油会社のシェブロンが2月28日に、電気自動車メーカーのテスラが3月1日にそれぞれインベスターデーの開催を予定しており、注目したい。経済指標では、1月耐久財受注速報、1月中古住宅販売仮契約、2月ダラス連銀製造業活動指数(27日)、1月前渡商品貿易収支、1月卸売在庫、12月FHFA住宅価格指数、12月S&P20都市住宅価格指数、2月MNIシカゴPMI、2月リッチモンド連銀製造業指数、2月コンファレンスボード消費者信頼感(28日)、2月グローバル製造業PMI、1月建設支出、2月ISM製造業景況指数(3月1日)、第4四半期非農業部門労働生産性・単位人件費確定値、週次新規失業保険申請件数、2月サービス業PMI(2日)、2月ISM非製造業景況指数(3日)、などが発表予定。
主要企業決算で、保険のバークシャー・ハサウェイ(2月25日)、小売り関連で、廉価アパレル、家庭装飾品ブランド運営するロス・ストアーズ(2月28日)、ディスカウント小売りのターゲット(29日)、ホームセンター運営会社のロウズ、ディスカウント小売りのダラー・ツリー、百貨店のコールズ(3月1日)、メーシーズ、ファッション小売りのノードストロム、会員制倉庫型卸売・小売会社のコストコホールセール、スーパーマーケット運営のクローガー(2日)、ハイテク関連では給与、財務管理に関するクラウドアプリケーションを手掛けるワークデイ(2月27日)、クラウド型ソフトウェア会社のセールスフォース、ソフトウェア・ソリューション会社のスノーフレーク(3月1日)、そのほか、エネルギー資源会社のオキシデンタル・ぺトロリアム(2月27日)、電気自動車メーカーのリビアン(29日)、医薬品メーカーのメルク(2日)、などが予定されている。
景気動向に比較的左右されず、好調な業績が期待されていたディスカウント小売りのダラー・ゼネラルは、昨年12月の悪天候が響き見通しを下方修正しており、同業ダラー・ツリーの業績に注目だ。また、バークシャー・ハサウェイの決算発表では、株主宛てレターで、同社を運営する著名投資家バフェット氏のマクロ経済を含めた見通しに注目したい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》