為替週間見通し:ドルは底堅い動きか、日銀金融緩和継続の影響も
【今週の概況】
■ドルは堅調推移、インフレ持続で米利上げ長期化の思惑強まる
今週のドル・円は堅調推移。米連邦準備制度理事会(FRB)が2月22日公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1/31-2/1開催分)で、利上げ継続が適切であり、0.50ptの追加利上げ支持があったことが指摘されたため、利上げ長期化を想定したドル買い・円売りが再開した。23日発表の新規失業保険申請件数は予想外に減少したこと、10-12月期国内総生産(GDP)価格指数改定値が上方修正されたこともドル買い材料となり、135円36銭までドル高・円安が進行した。
24日のニューヨーク外為市場でドル・円は、135円30銭から136円52銭まで上昇した。この日発表された1月コアPCE価格指数は市場予想を上回ったこと、2月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値の上方修正を受けて、インフレ持続による米国金利の先高観が強まり、長期金利の上昇に伴いドル買いが加速した。日本銀行総裁交代後も金融緩和策が維持されるとの見方もドル買い材料になった。ドル・円は136円46銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:133円93銭-136円52銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い動きか、日銀金融緩和継続の影響も
来週のドル・円は底堅い値動きか。米インフレ高止まりの思惑から、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ長期化を想定したドル買いが入りやすい。また、日本銀行による金融緩和政策の継続も見込まれ、リスク選好的な米ドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。1月31日-2月1日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅は0.25ptに縮小されたが、2月22日に公表された同会合の議事要旨では複数の当局者が0.50pt幅の利上げを支持していたことが分かった。
来週発表される2月消費者信頼感指数や2月ISM製造業景況感指数など経済指標が市場予想を上回った場合、FRBによる利上げ長期化の方針を後押しする材料となり、金利高・ドル高の基調を強めそうだ。米10年債利回りが一段と上昇した場合、ドル高持続が見込まれる。
一方、次期日本銀行総裁人事で植田和男元審議委員の発言内容が注目されるなか、同氏は現行の金融緩和策について適切との見方を伝えており、緩和政策を維持する可能性が示された。ただ、イールドカーブ・コントロール(YCC)について「基調的な物価見通しが一段と改善していく姿になっていけば、正常化方向での見直しを考えざるを得ない」と指摘している。
【米・2月消費者信頼感指数】(28日発表予定)
28日発表の米2月消費者信頼感指数は108.4と、1月の107.1を上回る見通し。市場予想とおおむね一致すれば、景気回復を背景にFRBによる金融引き締め長期化への思惑が広がり、金利高・ドル高の手がかりになりやすい。
【米・2月ISM製造業景況指数】(3月1日発表予定)
3月1日発表の米2月ISM製造業景況指数は47.7と、前月の47.4から小幅に上昇する見通し。米国経済の先行きに不透明感が和らげば、金利高・ドル高の要因になりやすい。
予想レンジ:134円00銭-139円00銭
《FA》