鈴木英之氏【2万8000円台乗せ、3月期末に向け上げ足加速?】(1) <相場観特集>
―海外株市場にらみリスクオン継続、ここからの相場見通しは―
週明け6日の東京株式市場は、日経平均株価が大幅続伸しフシ目の2万8000円台に乗せてきた。前週末の欧州株市場が全面高に買われ、米国株市場でもハイテク株中心に強い銘柄が目立ち主要株価指数は揃って大幅上昇した。東京市場では3月期末を意識して株価の着地点を探す動きにあるが、前週末ときょうの大幅高によって、長く続いた中段でのもみ合いを上に放れる格好となっている。ここから日経平均はどういう軌道を描くのか。全体相場の見通しと物色の方向性などについて、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。
●「2万9000円意識の展開、バリュー・グロース株を相互物色も」
鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)
今後1ヵ月程度の日経平均株価の予想レンジは、2万7500~2万9000円前後を見込んでいる。トレンドは上昇基調だろう。
2月中旬にかけ発表された第3四半期決算は、あまり良い内容とは言えなかった。しかし、相場は下げずに堅調さを示していた。市場は、相場の底を探ってきたのだと思う。24年3月期は減益決算も予想されるだけに、これを嫌気され本決算が発表される5月頃に株価は底を打つパターンも考えられる。しかし、決算と同時に自社株買いの発表も予想され株価は底堅い展開となることもあり得る。そんななか、相場は第3四半期決算でいち早く底を打ったようにみえる。
また、米国はインフレ懸念を織り込みつつあるように思える。年後半に向けての利下げ期待はさすがに後退したが、7月米連邦公開市場委員会(FOMC)にかけ政策金利の上限を5.75%程度に引き上げるところまでは、相場は織り込んだのではないか。米国への移民が増え人口増も見込めるなか、今後は労働参加率の上昇による賃金上昇の落ち着きも期待できると思う。
こうしたなか、3月相場の銘柄物色では、バリュー株とグロース株が相互に買われる展開を予想している。バリュー株は3月前半は配当権利取りもあり堅調な値動きが期待できるだろう。後半に向けては米長期金利低下も視野にグロース株の見直し買いも見込める。バリュー株では、銀行株や鉄鋼株、それに紙パルプ株などに妙味がありそうだ。グロース株では半導体関連に加え、デジタルトランスフォーメーション(DX)に絡む情報通信株などが面白そうだ。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。
株探ニュース