山田勉氏【2万8000円台乗せ、3月期末に向け上げ足加速?】(2) <相場観特集>
―海外株市場にらみリスクオン継続、ここからの相場見通しは―
週明け6日の東京株式市場は、、日経平均株価が大幅続伸しフシ目の2万8000円台に乗せてきた。前週末の欧州株市場が全面高に買われ、米国株市場でもハイテク株中心に強い銘柄が目立ち主要株価指数は揃って大幅上昇した。東京市場では3月期末を意識して株価の着地点を探す動きにあるが、前週末ときょうの大幅高によって、長く続いた中段でのもみ合いを上に放れる格好となっている。ここから日経平均はどういう軌道を描くのか。全体相場の見通しと物色の方向性などについて、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。
●「株高材料揃う、2万9000円台目指す動きに」
山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)
日経平均は強い動きで2万8000円台を回復し、リスク選好の地合いが続いている。これは2020年、21年、22年とコロナ禍で経済活動が抑制されていたことで、その反動が顕在化されたものともいえる。株式市場にすれば4年ぶりの春が訪れたという環境にあり、これが根強く買いが続く背景にある。実体経済面では小売り、飲食業界などをはじめリオープンの追い風が強い。
また株式需給に目を向けると、信用売り残が1兆円規模に膨らんでいることで買い戻しが入りやすくなっているほか、投信の積み立てが月間2000億円ペースで増加しており、年換算にして約2兆4000億円のニューマネーが流れ込む状況にある。投信への資金流入については、来年には「新NISA」の枠が3倍化することで、一段と強まることが予想される。
更に外部環境面では、日銀の金融政策がこれまでの黒田路線から急な変更はないという認識が高まっており、株式市場にとって買い安心材料となっている。直近、発表された都区部の消費者物価指数(CPI)を受けて、今週9~10日に行われる日銀金融政策決定会合では現状維持が濃厚。次回以降の会合でも、植田日銀新総裁は現行の緩和路線を基本的に維持する姿勢が見込まれる。
これらの株高材料に加えて配当権利取りの買いなども加わり、当面は上値指向の強い地合いが続きそうだ。日経平均に対しTOPIXの上昇が先行しているが、TOPIXは21年9月につけたバブル後の最高値を早晩視野に入れてくる可能性もある。一方、相対的に出遅れる日経平均は昨年8月の戻り高値2万9222円を目標に3月期末に向け強調展開が期待できそうだ。物色対象としては幅広い銘柄に浮揚力が働くと思われるが、そのなか高配当利回り株のほか、小売り・外食・宿泊業などのインバウンド関連に着目してみたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(やまだ・つとむ)
マーケットアナリストとして証券界で十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券(現auカブコム証券)入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。
株探ニュース