株価指数先物【寄り前コメント】 SQ週ながら節目の2万8500円を一気に突破し、ヘッジ対応のショートカバーが強まりやすい

市況
2023年3月9日 8時21分

大阪3月限ナイトセッション

日経225先物 28620 +200 (+0.70%)

TOPIX先物 2064.0 +13.5 (+0.65%)

シカゴ日経平均先物 28620 +200

(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)

8日の米国市場は、NYダウが下落した一方で、 S&P500ナスダックは上昇。2月のADP雇用統計で民間雇用者数は24万2000人増と予想(20万人増程度)を上回ったことから、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの観測が高まった。パウエルFRB議長は8日の下院金融サービス委員会の議会証言で、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は指標次第であると、タカ派姿勢を維持。パウエル議長の議会証言については7日の上院銀行員会での発言を踏襲した格好であり、織り込み済みとして売り一巡後は押し目を拾う動きが見られた。S&P500業種別指数は半導体・同製造装置、不動産、テクノロジー・ハード・機器が上昇した一方で、自動車・同部品、エネルギー、保険が下落した。

シカゴ日経平均先物(3月限)清算値は、大阪比200円高の2万8620円と節目の2万8500円を上放れた。日経225先物(3月限)のナイトセッションは、日中大阪比10円高の2万8430円で始まり、直後に付けた2万8390円を安値に切り返すと、一時2万8640円まで買われた。米国市場の取引開始後に軟化し、2万8460円まで上げ幅を縮める場面も見られたが、終盤にかけて再び買い直され、2万8550円~2万8640円辺りのレンジ推移を経て、2万8620円とナイトセッションの高値圏で取引を終えた。

日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする格好から、買い優勢の展開になりそうだ。3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を週末に控え、限月交代に伴うロールオーバーが中心の商いながら、節目の2万8500円を突破してきた。SQ週で2万8000円割れの水準から2万8500円を超えてくると予想していた向きは限られていると考えられ、ヘッジ対応に伴うショートカバーが強まりやすいだろう。オプション権利行使価格の2万8500円~2万9000円のレンジに移行する展開が意識されやすく、2万9000円コールをショートしていた向きのカバーに対する思惑が高まりそうだ。

日経225先物は節目の2万8500円をクリアしたことで、チャート上では昨年8月17日に付けた2万9020円がターゲットとして意識されてくる。テクニカル面ではボリンジャーバンドの+2σと+3σによるレンジに沿った形での上昇を継続しており、+3σは2万8730円まで切り上がってきた。オーバーシュート気味の上昇ではないため過熱感はそれほど警戒されにくく、ピーク感からのショートは避けておきたい。

また、シティグループは、パウエル議長の証言を受けて、3月のFOMCでの利上げ予想幅を0.25%から0.50%に引き上げるなど、市場は0.50%の利上げを織り込んできた。一方で、9-10日に開く日銀の金融政策決定会合では現在の金融緩和策の継続が決まる可能性が大きいため、日米金利差を狙ったトレードが意識されやすく、指数インパクトの大きい値がさ株などへの資金流入が意識されやすいだろう。

VIX指数は19.11に低下した。一時20.01まで上昇する場面が見られたものの、同水準に位置する25日移動平均線に抑えられた格好であり、リスク選好に向かわせやすい。なお、昨日のNT倍率は先物中心限月で13.86倍に上昇した。朝方はNTショート先行で13.81倍まで低下し25日線を下回ったものの、その後はNTロング優位の流れのなか、25日線を上回った。大きなトレンドは出にくいが、米ハイテク株の上昇が目立つなか、75日線が位置する13.93倍辺りを想定したNTロングでのスプレッド狙いのトレードが入りやすいと考えられる。

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