佐藤正和氏【いきなりの波乱相場、ここからの展望と個別戦略】(2) <相場観特集>

特集
2023年3月13日 19時45分

―米SVB破綻の爪痕深く、乱高下の為替市場にも視線集中―

週明け13日の東京株式市場は前週末の欧米株市場が急落したことを受け、リスク回避売りに晒される展開となった。米金融持ち株会社SVBファイナンシャル・グループ<SIVB>傘下のSVBが経営破綻したことで、市場センチメントが大きく弱気に傾いている。この日の日経平均株価でのドル安・円高も重荷となり、一時500円を超える下げに見舞われた。ここからの相場展望と個別株戦略について雨宮総研の雨宮京子氏に、また為替の見通しについては、外為オンラインの佐藤正和氏にそれぞれ話を聞いた。

●「トレンドは円高、米銀破綻を警戒し当面慎重姿勢も」

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

先週末10日に発表された米2月雇用統計は、非農業部門雇用者数は予想を上回ったものの、失業率は予想より上昇したことからドル高にはなりにくい内容だった。そこに米銀シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻の報道が飛び込んできて、一気にドル安・円高が進んだ。

ただ、米金融当局は「預金は全額を保護する」方針を固めており、リーマン・ショック後には危機に備えたセーフティネットも拡充されている。米国で銀行が連鎖破綻するような事態は起こりにくいと思う。

SVBも資金調達に成功したスタートアップなどから預金を集め、その7割弱を債券など有価証券に投資して運用していた。そこに急激な金利上昇で一気に業績が悪化したようだ。問題はSVBのように金利上昇を背景に経営が悪化している銀行が、他にもあるのかだ。この点を確かめるために、しばらくは慎重姿勢が続きそうだ。

また、米連邦準備制度理事会(FRB)にとっては、金利上昇を背景に経営破綻した銀行が出現したことで、その金融政策の舵取りは一段と難しくなっただろう。3月FOMCでの利上げ幅は0.25%を見込んでいるが、金融不安が台頭することは景気を悪化させインフレ懸念を鎮める要因にもなり得る。

こうしたなか、今後1ヵ月程度のドル円相場のレンジは1ドル=128~138円前後を予想している。トレンドはドル安・円高だろう。また、ドルは対ユーロでは、1ユーロ=1.05~1.11ドルを見込む。ユーロ圏は利上げ観測が強くユーロ高の基調を見込んでいる。ユーロは対円では1ユーロ=140~146円のレンジを見込んでおり、若干円高基調を予想している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。

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