融資の厳格化が米GDPを圧迫との見方も
米大手銀から今年の米GDP見通しを下方修正する動きが出ており、GDP見通しを0.3%ポイント引き下げ1.2%とした。金融システムの混乱で米中小銀行の融資が減少することを理由に挙げている。米中小銀行が預金引き出しに対応するために流動性を確保しようとし、融資基準を大幅に厳格化するとしている。融資基準の厳格化は総需要を圧迫し、ここ数四半期の利上げによってすでに影響を受けている成長の足を引っ張る可能性があるという。
米中小銀行は米経済において重要な役割を担っており、資産2500億ドル未満の銀行は商業・産業向け融資の約50%、住宅不動産向け融資の60%、商業不動産向け融資の80%、消費者向け融資の45%を担っているという。
破綻したSVBとシグネチャー銀が銀行融資全体に占める割合は僅か1%だが、融資比率が高い銀行で20%、米連邦預金保険公社(FDIC)の保険で担保されている預金の割合が低い銀行は7%だと指摘。
FDICがカバーする預金のシェアが低い小規模銀行が新規融資を40%、その他の小規模銀行が15%減らすと仮定すれば、銀行の融資総額に2.5%の下押し圧力がかかることが想定され、これは0.25-0.50%ポイントの利上げと同じ効果を需要に及ぼすという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美